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                    外気功診癒室  

気功全書 「出版芸術社」
ジャーナリスト 池田弘志著より
ところで、外気功はどのように行われるのだろうか。気功師はどのような気持ちで、患者さんに接するのだろうか。その疑問に長野県松本市『アピナ医療気功技術センター』主宰者・山崎正男さんが答えてくれる。山崎さんは、患者さんたちの心情や反応等も交えながら、外気功治癒の現場をユーモアたっぷりに描写している。

訪れてくるほとんどの人が、西洋医学の治療に満足できない人達ばかりです。病院で病名をつけてはくれるものの、治療法が確立されていないために、適切な治療が受けられず、不安がつのり、ノイローゼになったり、心身症や不安神経症を併発したりする人もいます。
また、アトピー性皮膚炎の治療にステロイド剤を多用し、さらに悪化したと愚痴をこぼす人もいます。
不定愁訴があって苦しんでいるのに、内科医が『歳だからしょうがないですよ』と言うだけで、まともに取り合ってくれないなどの不平不満が珍しくありません。

ストレスからくる頭痛、肩凝り、腰痛、不眠症、心身症、胃潰瘍などに、更年期障害などが加わると、更に複雑になり、極めて強い不定愁訴を訴えるようになります。
しかし、このような病状に対する外気功の臨床効果は、まことに顕著です。全体の気の調整を図ると、自覚症状がほとんど消えてしまうことが往々にしてあります。時には、奇蹟的な効果をもたらす外気功について、詳しく述べてみます。

数多い臨床例の中から ‘シャバジュウ’(身体じゅう)悪い箇所のある女性の症例をご紹介しよう。
「人がよいと言うことは、すべてやってみたんですよね。病院もいろいろと変えてみたし、薬も馬が食べるほど飲みました。しかし、いっこうに良くならないんです。もう20年も頭痛もちですし、肩凝りもあります。腰は痛いし、足がしびれ、一人で立っていられない状態です。」と55歳の女性が、訴える症状はまだまだある。

「目まいがして、ふらふらします。医者にメニエール氏病だと言われました。それから胃の調子も悪く、吐き気があって気持ちも悪いんですよね。それに耳の中でミーンミーンと蝉がないているんです。時々、キーンとジェット機も飛びます。

早い話が耳鳴りと言うんですか、あれですよ、あれ。動悸もあって、息切れするんです。心臓神経症だって言われたこともありました。
それから全身が皮膚過敏症で、ちょっと皮膚をつまんだだけで、飛び上がるくらいに痛いんです。何とかなりませんでしょうか。後頭部も痛いし、首から肩にかけて強い張りもあります。心身症だとも言われたし、あっそうそう、自律神経失調症とも言われましたの。
夜も眠れないし、このままだと死んじゃうんじゃないかしら。毎日毎日、憂うつで困ります」と延々と続いた愁訴が、やっと途絶えた。
こんな女性がみえて、椅子に腰掛けるやいなや、今までの病歴や症状を口角泡を飛ばす勢いでまくしたてるのです。そして、最後のとどめは「こんな具合の悪いところが‘シャバジュウ’あれば、気功では絶対に治りませんよね」と言いたい放題です。

神業のような早口に私も圧倒されました。ともあれ、ジャバジュウという久しぶりに聞く方言も、この女性の症状からすればピッタシです。これだけアッチもコッチも悪いところだらけで、よく我慢できるものだと感心してしまいました。

このようなシャバジュウも悪い人に限って、病院を転々とドクター・ショッピングを繰り返した挙げ句に、ワラをも掴む思いで気功に移るケースが多いものです。
しかし、気功に対する認識不足からか、気功の治癒効果については、疑心暗鬼の人が多いことは否定できません。
外気功治癒を受ける場合は、気を素直に受入れる気持ちが、とても大切です。疑う心があると治癒系の機能がうまく働かず、治癒効果が半減してしまうことが経験的にはっきりしています。そこで私は、気功で病気を癒す際に欠かせない三つの心構えについて、次のように申し上げました。
「一つ目は信心です。何事も信じる事から始まります。二つ目は決心です。気功で絶対に癒すんだと言う強い決心が必要です。三つ目は恒心です。試しにやってみようか、という軽い気持ちではダメです。

また、早急に効果を求めて焦ってはなりません。病気が癒されるまで、気長に続けてみようという心構えが必要です。気は目で見ることが出来ないからこそ、この三心がとても大切になります」
「分かりました。じゃあ、そう思いますからお願いします」と案外素直な女性で、内心ホッとしたので、結果としてこの厄介な訪問者を、お受け入れするはめになりました。
初めに彼女の全身の気の状態をチェックしてみます。掌を彼女の頭部から胸、お腹、大腿部へと徐々に下半身の方へ移動させていくと、上半身が実(過剰)で、下半身が虚(不足)の典型であることが分かりました。

つまり、上半身に気が集まってしまい、下半身の気が不足していることを意味しています。本来ならば、気はお臍の少し下の丹田(下丹田ともいう)に充実していなければなりません。頭のほうに気が偏っていたので、具合が悪いのです。

さらに念入りにチェックすると、彼女は、右半身の気が虚であることも判明したのです。また、大腿部、膝、すねの表面の気も薄いので、「足が冷え性ですね」と聞いてみると「夏でも冷たいんですよ。靴底にホッカイロを入れることもあります」との応対に、私は「えーっ、靴底に」と声を上げてしまうと、「でも、どうして身体に触れずに分かるんですか?」と彼女は好奇心の声。
こちらにしてみれば、また一つ余分に治癒箇所が増えたことになり、どうやら叩けば埃ではなく、診れば診るほど病名が増えてきそうです。「病院で精密検査をしてみても原因がよく分からないと言われてきました」と彼女は心細げ。

さて、気功の治癒では、病気の原因が分からない時には、自発功(自発動功ともいう)を誘発させて探るのも有力な方法です。自発功がどんなものか、追々分かるようにいたします。最初にベッドに仰向けに寝て頂いて、眉間にある「印堂」というツボから、気を入れてみると、邪気が実(過剰)となってあふれていることが私の掌に感じられます。このように悪い気があふれている時には、気のパワーで瀉(排出)して、それを払います。
次に、脳内の視床下部という場所を意識して、それが正常に機能するように意念(強く願う)しながら、気を送ります。視床下部というのは、脳のほぼ中心にあり、親指ほどしかありませんが、生命の根源である食欲や性欲をつかさどる所であり、また自律神経系や、体温調節の中枢です。外気功により、視床下部に気を送りこむと、難病に奇蹟的な変化をもたらすこともあります。また、余談ですが、そのオマケとして精力がついて、夫婦円満になったと喜ぶ男女もいます。
バイアグラなどに頼らずとも、気功で自然に回春できれば、それに越したことはありませんね。
さて、シャバジュウの女性の視床下部に気を送ってしばらくすると、突然に「アーッ、死んじゃうっ、助けてー、ゲェッゲェッ」と、猛獣の叫びにも似た声が部屋中に響きわたったのです。猛獣?の声に私はビックリし、お粗末にも椅子から転がり落ち、尾てい骨を思い切り強打してしまったのです。
意識を集中し、静寂そのものの時に、いきなりこの騒ぎですから、ビックリするのも無理はないのですよ。
痛む尻をなでながら、女性の顔を見ていると、目に涙をいっぱい浮かべて、今にも嘔吐しそうな苦しげな表情。‘弱ったな。こんな所でゲロされたら、後始末が大変だわい’と内心思いながら、気を弱めに押さえて、足の裏の「湧泉」というツボから邪気を抜くように誘導してみると、苦しげな表情が見る見るうちに消えて、だいぶ落ち着いてきたのです。
初回からこんな状態では、自発動功は無理なので予定変更です。もう一度、全身の気を再チェックしてみたところ、後頭部にテニスボールくらいの気が実となってあふれているのが確認できます。後頭部がこのような実の状態の時には、ストレスがたまっていることが多いのです。
この場合、気功師は邪気を瀉して取り除く作業をするのですが、そうすると、時々起こる現象あります。それは、急に大声で笑い出したり、泣き出したりすることです。時には涙がポロポロとあふれてきて、ワーワーと泣きじゃくることもあります。

この女性も例外ではなく、大の大人があたり構わずワーワーとしゃくりあげるので、始末におえません。それに、何だか私が泣かせているようでバツが悪くて困ります。しかし、こうした現象は一時的なものですから、すぐにやみます。また、外気功を受けると、あくびがひんぱんに出たり、眠くて眠くていくらでも眠れるという状態が、しばらく続くこともあります。
時には身体がだるくなったり、下痢をしたり、体調を崩すこともあります。これは、病気から健康に回復する際の、一過性のものと考えればよいでしょう。こういう変化は好転反応と呼ばれ、何も心配はいりません。漢方では瞑眩現象」と呼ばれ「瞑眩せざればその病癒えず」と言われるくらい大切なことでもあります。

やがて、少し明るい表情でやって来たのが、ちょうど1週間後です。「あんなに長く続いた頭痛が、ウソのように楽になりました。胃の調子もだいぶよくなりました。それにとても冷たかった足がポカポカと、暖かくなりました。気持ちも落ち着いてきて、精神安定剤を飲む回数が減ってきました。気功って本当に不思議ですねぇ」と目をまん丸くして、また特技の早口でしゃべりまくるのです。

今日はいよいよ自発動功です。仰臥の姿勢でベッドに寝てもらいます。
「心身ともにリラックスして力を抜いて下さい。身体が動いてきたら、自然に任せておいて下さいね。身体の歪みを自分で調整する動作を自分が自然に行いますから、怖くはありません。
大丈夫ですよ」と声をかけてから、眉間の「印堂」というツボと頭頂部の「百会」というツボから同時に気を入れてみますと、首がゆっくりと左右にゆれてきます。

次に、首をすくめるように両肩を上下に動かしています。しばらくその動作を続けた後、今度は脊椎がS字型にクネクネと、動き始めました。まるで、大蛇が這っているようです。そのうちに、だんだん動きが激しくなってきました。顔にうっすらと汗をかきながら、一生懸命に動いています。とてもリズミカルな動きです。

さて、しばらくしてから、どんな感じがしますか、と声をかけますと、「ヤダーッ、もうー、身体が勝手に動いちゃってさ、どうなってんの。ハハハッ、でもすごく気持ちがいいわ」と実に楽しそうです。時計を見ると、20分ほど経過したので、もう止めますか、と聞いてみると、「いいえ、気持ちがいいから、もう少しお願いします」という返事です。

どうやら、自発功がとても気に入ったようです。その動きを良く監察していますと、どうも胸椎に歪みがあるようです。「病院で、胸椎のどこかに歪みがあるって言われませんでしたか」と聞いてみますと「あります、あります、確か7番とか8番とかがいけないと言われたことがあります」 やっぱりと言う感じです。

ベッドから降りてもらい、今度は椅子に座ったままの状態で、頭頂部の百会と『頸椎』にある大椎というツボから気を入れてみると、すぐに頭が後ろに傾いてきたのです。椅子の背もたれが、目いっぱいに倒れて、今にも後ろに倒れそうです。しばらくそのままの状態にしておいたら、「イダダッ、イダダッ」と念仏でも唱えるような、ひとり言が聞こえてきます。どうやら首が曲がりすぎて、声がよく出ないようです。

起こしますよ、と声をかけ、両手で頭を抱えて持ち上げるのですが、これがまた、めちゃ重いのです。まるで岩のようで‘石頭’の言葉がピッタリです。ヨッコラショッと、やっとの思いで起こしたところ、今度は「首がイタイッ」とはっきり発音します。でも、心地良い痛さだったと言います。

今までの臨床経験から、頸椎に歪みや異常がある人は、ほとんど同じ動作をします。ゆっくり頭を回転させる人、前後左右にゆする人、地震が起きたようにガンガン激しく動かす人など、それぞれの症状によって動き方はさまざまです。頭が石のように重くなって、後ろに傾く現象は、整骨院で頸椎を索引されるのと同じ効果があるのです。それも無意識のうちに、機能的に矯正されるのですから、安全でかつ大変に効果的なものです。
この騒がしい患者さんにも、どうやら気功の効果が現れたようです。5回ほど倒しては起こし、倒しては起こしを繰り返したところ、すっかり良くなって、それっきり「イダダッ、イダダダッ」の言葉を聞かなくなりました。

その後、本人の強い希望で、しばらく通って来ましたが、あれだけたくさんあった症状が、ウソのように完治してしまったのですから、本人の喜びようはたとえようがありません。「気功にめぐり会えて本当に良かった」と言いながら涙ぐんでいます。そして、こう言うのです。「先生のところに通い始めてから、何だか不思議なことばかり続くんです」と。
「もしかしたら、気のせいでしょうか、フッと頭に浮かんだことが、すぐに実現するのです。それもしょっちゅう。気味が悪いくらい。たとえば、30年間も間も会っていない同級生のことが、フッと頭の中に浮かんだとたんに、その彼女から電話がかかってきたんです。それから、椎茸が食べたくて買い物に行こうとしたら、近所のお友達が‘椎茸食べない?’とカゴにたくさん入れて持ってきてくれたんです。
他にも似たようなことが、いっぱいあるんですよね」と潤んだ瞳をまん丸くして驚いています。

「それは、外気功を受けたことによって、精神波動が高まり、相手方と共鳴現象が起きたからです。テレパシーに近いものですよ、凄い能力が見について良かったですね」と答えますと「本当ですか、嬉しいわ」と、また涙ぐんでしまうのです。本人としてみれば山のようにたくさんあった病名がウソのように消えてしまい、加えてテレパシーのような能力まで身についてしまったのですから、心から嬉しいでしょう。私としても、肩の荷が降りて、ヤレヤレといったところです。

このように、外気功を受けることによって、人間に内在している潜在能力までもが引き出されることは、しばしばあるのです。ふと思ったことがすぐ実現したり、偶然の一致みたいなことは、スイスの精神分析医ユングが提唱したシンクロニシティ(共時性)という現象です。

気功の鍛練により、身体を取り巻いている生気体が高まると、このような共時性がひんぱんに起こるようになります。これは、高次の生命力をみずから得たことでもあります。

シャバジュウの女こと、外気功で快癒した原佐知子さんは、次のように感想を手紙で寄せてきた。

― 以前は身体中の具合が悪く、いつも不安と恐怖に脅え悲観的になりがちな自分でしたが、気功治癒を受けてからは、心身共に健康的になり、何事にも前向きに考えられるようになりました。

それに「気功を始めると、潜在能力も開発されて、偶然の一致という現象がとても多くなりますよ」と山崎先生に言われた通りの現象が、時々起きています。10年前から御無沙汰している知人に会いたいと考えただけで、その3日後に病院でバッタリ会ったとか、そういう不思議な出来事が多くなり、自分に必要なこ事柄が、自然とかなえられるようになりました。

気というのは、単に病気治癒にだけに作用するものではなく、人間の精神肉体を含め、日常生活すべてにおいて深くかかわっていることを悟ることができました。―