認定医試験出題内容について
第2回試験問題 | |
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1. | @皮膚や粘膜に存在する一般体性感覚の種類と受容器の関係を記せ。 A腱や骨格筋に存在する受容器の種類と役割について記せ。 |
2. | 浸潤麻酔下で粘膜骨膜切開、骨削除、歯冠・歯根分割の術式で施術した下顎埋伏智歯抜去術後に同側の舌半側の知覚異常を認めた。舌神経が下顎埋伏智歯舌側近傍を走行していたと考えられるが、舌神経を障害する可能性のある手技について、簡潔な理由とともに具体的に記せ。 |
3. | 三叉神経知覚障害に対する評価法について以下の問いに答えよ。 @神経症状(自覚症状)についてどの様なものがあるか、またそれぞれの特徴を説明せよ。 A定量的検査法を3つ以上挙げ、それぞれの特徴について説明せよ。 B定性的検査法を3つ以上挙げ、それぞれの特徴について説明せよ。 |
4. | 下顎智歯抜歯が原因で下歯槽神経支配領域に感覚異常が発症した場合の薬物療法について記せ。 |
5. | 医原病とは。臨床における対応について |
第3回試験問題 | |
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1. | 下唇やオトガイ部皮膚の感覚異常を定量的に診断する検査方法名を2つ以上述べよ。 |
2. | 下顎水平埋伏歯抜去に際し、術前に説明すべき偶発症を列記せよ。 |
3. | 舌神経について、特にその走行(下顎神経からの分岐より末梢)について できるだけ詳細に記せ。ただし、味覚神経については記述の必要はない。 |
4. | 下顎埋伏智歯抜歯に伴う舌神経損傷の原因について記せ。 |
5. | 味覚異常の原因的事項とその治療法について記せ。 |
第4回試験問題 | |
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1. | 下顎埋伏智歯抜去1週後に下唇の知覚異常を訴えて来院した。口唇感覚異常プロトコールに準じた評価法を述べよ。 |
2. | 第X脳神経のうち卵円孔から末梢側の神経走行について記せ。 |
3. | 他の歯科医院で下顎智歯を抜去し、1週間後に下唇の知覚異常を訴えて来院した症例に対する治療方針を記述せよ。 |
4. | 下顎埋伏智歯抜歯術で下歯槽神経障害を認め、1年経過しても下唇・オトガイ皮膚の知覚麻痺が残存している30歳女性患者が、予後の相談目的に来院した。インフォームドコンセントもあり、早期から薬物療法も行われていたため、抜歯術を施行した主治医に対する不信や不満はないが、これ以上の改善は見込めないと言われたため精神的に落ち込んでいるという。この患者にどのように接し、話を展開するか記しなさい。 |
5. | CT画像診断で根の一部と下歯槽管との近接が確認された下顎智歯の抜歯を行う時、できるだけ神経障害を起こさないようにするためにはどのようなことに注意して抜歯したらよいか。抜歯手技上のポイントあるいは方法について箇条書きに述べよ。 |
第5回試験問題 | |
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1. | 末梢神経線維のAβ線維、Aδ線維、C線維について述べよ。 |
2. | Seddonの分類(1943)の概要を記し、それぞれについて、その状況を下歯槽神経において生じうる下顎埋伏智歯抜歯時の操作ならびに状況について列記せよ。 |
3. | 21才女性。骨格性3級の診断で下顎枝矢状分割術を7日前に受けた。術後より左側オトガイ神経領域に知覚麻痺を認め、Vit B12の投与を行っているが、症状の改善は認められない。このような場面において、星状神経節ブロックについて、1)治療時期、2)有効性、3)方法、4)合併症、を含めて説明せよ。 |
4. | @口唇・舌の感覚異常を診断するために必要な器材・器具を挙げ、それぞれの使用方法を記述せよ。 A「VAS」の意義について記述せよ。 |
5. | 医療事故と医療過誤の違いについて説明せよ。 |
第6回試験問題 | |
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1. | 三叉神経の神経核について正しい関係を示すものを1つ選べ。 三叉神経中脳路核―触覚・圧覚 三叉神経脊髄路核―温覚・痛覚 三叉神経主知覚核―咀嚼筋の感覚(筋紡錘からの受容を含む) 三叉神経運動核―顔面表情筋の運動 |
2. | 片側顎関節前方障害形成術後、同側の口角下垂と流涎が見られた。損傷したと考えられる顔面神経の枝はどれか。2つ選べ。 前額枝 頬骨枝 頬筋枝 下顎縁枝 頸枝 |
3. | 味覚異常に関する内容で正しいものをすべて選べ。 口腔乾燥は一因である 常用薬の確認は必要である 血清亜鉛値は130μg/dlを低値とする 濾紙ディスク検査は定量検査である 電気味覚検査は支配神経領域別に評価できる |
4. | 三叉神経領域の外傷による神経障害性疼痛に対する治療薬のうち第一選択薬として不適当なものを1つ選べ。 カルバマゼピン メキシレチン メコバラミン アミトリプチン プレガバリン |
5. | 歯科診療契約における歯科医師の義務を2つ選べ。 診療方針遵守義務 告知義務 善管注意義務 診療行為協力義務 説明義務 |
6. | 味覚は舌乳頭に存在する味蕾によって司られている。舌における味覚の神経支配について、支配領域に含まれる舌乳頭名を用いて説明せよ。 |
7. | 次に症状を生じる可能性がある口腔領域の手術術式とその原因についてそれぞれ記述せよ。 舌の運動障害 舌の知覚異常 |
8. | 本学会の診断基準における舌の感覚異常の検査方法、要領について記述せよ。 |
9. | 以下の症例について、考えうる治療法について、適応時期も含めて記せ。 患者は近歯科において右下顎第一大臼歯部にインプラント埋入後翌日より、右下唇・おとがい部のしびれと鈍い感じを訴えた。当該歯科では特に処置せず、1週間様子を見たが、症状変化ないため、術後2週間目に(二次医療機関に)紹介来院した。 パントモとCTによる画像診断では、インプラント体と下顎管上壁との距離は5oあり、ドリリング窩も接していない。知覚検査ではSWテスト:3.61(健常側1.65)、二点識別域15o(健常側5o)、冷覚は認識可能、温覚は認識可能だがややわかり難い、痛覚は認識可能であった。自覚症状として知覚鈍麻と不快感のない異常感覚が軽度認められた。 尚、紹介状によると、埋入時には伝達麻酔は行わず、浸潤麻酔のみ行っており、注射時と埋入時に疼痛は認められなかったとのことである。 |
10. | 22歳女性患者が、下顎智歯抜歯後に生じた下唇のしびれを主訴に、抜歯を行った歯科医院からの紹介で来院した。抜歯後1週間経過しており、感覚検査の結果、スコアはSW知覚テスター、二点識別、痛覚検査全て4であった。検査後、結果と予後について患者から質問された場合どのように伝えるか。 |
第7回試験問題 | |
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1. | 次の英文対訳の組み合わせで正しいものを2つ選べ。 Allodynia ― 感覚の低下(認識閾値の上昇) Anesthesia ― 感覚脱失 Dysesthesia ― 不快感を伴わない異常感覚 Hypoesthesia ― 異痛(痛み閾値の低下) Hyperalgesia ― 疼痛過敏(侵害刺激への反応増大) |
2. | 味覚の支配神経と支配領域との組み合わせで正しいのはどれか。すべて選べ。 鼓索神経 ― 舌先部 舌咽神経 ― 舌根部 上顎神経 ― 硬口蓋 下顎神経 ― 頬粘膜 大錐体神経 ― 軟口蓋 |
3. | 味覚障害について正しいのはどれか。すべて選べ。 口腔乾燥も原因の1つである 薬剤性味覚障害は高齢者によくみれらる 心因性味覚障害はもっとも多い原因である 末梢神経障害による味覚障害では舌神経障害がもっとも多い 亜鉛欠乏性味覚障害の診断では血清亜鉛値130μg/dlを低値とする |
4. | インフォームドコンセント(IC)について誤っているものを1つ選べ。 日本医師会は「通知と同意」と訳し用いている ICにおいて専門用語の乱用は避けなければならない 日本では1997年に医師法第1条の4第2項に明文化された ICの内容には医療行為による危険性ならびにその発生頻度を含む ニュルンベルグ綱領をもとに1964年ヘルシンキ宣言で示された |
5. | 右下顎第二小臼歯部にインプラント埋入後、右下唇に知覚異常が生じた全身疾患のない患者の治療として行われるものを2つ選べ。 プレガバリン5mg/日を投与する ポラプレジンク150mg/日を投与する メコバラミン1500μg/日を投与する トラネキサム酸1000mg/日を投与する ハイドロコルチゾン100mg/kgを投与する |
6. | 下唇・オトガイ部の感覚障害に対するチェアーサイドでの評価法について記せ。 |
7. | 第X脳神経第3枝が卵円孔を通過した後、分枝する神経を中枢側から末梢側の走行順に列記せよ。 ・列記にあたり、知覚(求心)性と体性運動(遠心)性とに区別すること ・但し、図示、自律神経(交感・副交感神経)系、神経孔の記載の有無は問わない |
8. | 下顎第二小臼歯のう蝕治療に際し行う浸潤麻酔によるオトガイ神経麻痺について考えられる原因について記載せよ。 |
9. | 医療過誤と医療事故の違いについて簡潔にのべよ。 |
10. | 下記の患者に対する治療方針を述べよ。 患者:35歳女性 現病歴:将来的な歯周病の予防目的に、無症状の左下顎埋伏智歯抜歯施行するも出血のため抜歯中断。その2週間後術者からの紹介により来院した。抜歯後から左下歯槽神経支配領域の知覚異常が続いているという。 初診時所見:全身症状は良好。左頬部の腫脹・自発痛・開口障害全てなし。口腔内抜歯窩は抜糸されており目視では粘膜に被覆されているが、左下顎第二大臼歯に打診痛がみられた。常用薬および歯科医院からの投薬はない。パノラマX線写真では下顎管近傍に智歯の根の根尖側約1/3が残っているのが確認された。患者が最も気にしている症状は左下唇周囲の知覚異常である。 |
6. | 歯科におけるセカンドオピニオンについて、次の内容を踏まえて記せ。 |
7. | 下顎第1大臼歯部へのデンタルインプラント埋入後の下歯槽神経知覚障害について考えられる原因を記せ。なお、手術は意識下に浸潤麻酔のみにおいて行うものとする。 |
8. | 味覚異常を主訴とした患者を診断する上で行われる臨床検査とその検査からわかることを述べよ。 |
9. | 下顎孔に入ってからの下歯槽神経の走行について臨床解剖学的に説明せよ。 |
10. | 神経障害性疼痛の発症のメカニズムとその治療薬の作用機序について記せ。 |
6. | ヒトの下唇に与えられた触刺激がそれと認知されるまでの受容器および伝導路を述べよ。(図示でも文字でも可) |
7. | 35歳の女性。かかりつけ医より右側下顎智歯抜歯を目的に大学病院の口腔外科を紹介された。既往歴に特記事項はない。智歯は正常萌出しているが、歯冠部に2度の齲蝕を認め、画像検査にて根尖は下顎管とかなり近接していた。診察の結果、抜歯もしくは保存治療の両者とも治療の選択肢になり得ると判断した。患者は、かかりつけ歯科医より理由は明かされていないものの、抜歯するしかないと説明されたという。今後の治療について説明、同意をを取得するにあたり、どのような点に注意して説明を行うかICの基本概念を踏まえて述べよ。 |
8. | 24歳の女性。右側舌先部の知覚異常を訴えて来院した。10日前に近くの歯科医院で右側下顎智歯を抜歯し、3日前には縫合していた2糸を抜糸したという。抜歯後の腫脹は僅かで、疼痛も自制内であったが、舌の知覚異常は抜歯の翌日から続いているという。 |
9. | 下顎管と近接している智歯抜歯の術式について、下歯槽神経を損傷させない工夫を述べよ。 |
10. | 関節頚部骨折に対する観血的整復固定術を顎下部からの口腔外アプローチにより行う場合、顔面神経下顎縁枝の損傷を防ぐ方策について切開線の設定(High perimandibular approachを含む)、術中の処置について知るところを記せ。 |
6. | 味覚検査法を2つ挙げ、それぞれの検査方法を簡潔に説明せよ。 |
7. | 末梢神経幹の解剖学的構造(図必要)と、末梢神経縫合術の種類を記せ。 |
8. | かかりつけの歯科医師に右側下顎智歯の抜歯を勧められた22歳女性が、当該歯の抜歯依頼状およびパノラマX線写真の画像データを持って来院した。
検診目的に撮影したパノラマX線写真にて智歯が見つかったとのことである。
口腔内診査では、上下顎ともに第二大臼歯まで全て健全歯で、ポケット探針にて第二大臼歯遠心に智歯を触知したが、これまで当該部位の不快症状はなかったとのことである。 |
9. | 術後異常疼痛(感覚)の発症機序について下記の用語を用いて説明せよ [末梢性感作・痛覚過敏・中枢性感作・アロディニア・ワーラー変性・ 疼痛増強物質・一次知覚神経・Seddonの分類] |
10. | Le-Fort I型骨切り術において損傷されうる神経について、その走行を記し(図必要)、術後口腔内症状に関するインフォームドコンセントの要点を記せ。 |
1. | 顎下腺良性腫瘍摘出時に損傷する可能性のある神経を2つ選べ。 |
2. | 口腔顔面神経機能学会を含め複数の学会より作成された「歯科治療による下歯槽神経・舌神経損傷の診断とその治療に関するガイドライン」に記載されている三叉神経損傷後の初期における感覚障害の治療に推奨される治療薬として強く提案されているものをすべて選べ。 |
3. | 末梢神経の自由週末が感覚受容器なのはどれか。1つ選べ。 |
4. | 味覚について正しいのはどれか。1つ選べ。 |
5. | 次の選択肢で正しいものを2つ選べ。 |
6. | 下顎智歯抜歯時に神経損傷の原因となりうる手技・行為について記せ。 |
7. | 切断された末梢神経の修復術の術式の要点について、神経端々吻合術、人工神経を用いた修復術のおのおのについて記せ。 |
8. | Seddon分類とSunderland分類におけるneurapraxia, axonotmesis, neurotmesis の病態、Tinel徴候の有無、回復様式について説明せよ。 |
9. | 顔面神経麻痺の症状と評価方法について述べよ。 |
10. | 63歳女性。近歯科にて左下6部にインプラント埋入手術を施行された。術中に激しい痛みを自覚し、術後数日経過しても左下口唇からオトガイ部皮膚に麻酔が効いたような違和感と、同部を軽く押さえるだけで痛みを覚えるようになった。担当医からは「手術は予定通りに行われており問題はありません。様子を見てください」と説明されるだけであったという。担当医への不信感から、精査・加療を希望して大学病院の口腔外科を受診された。受診時に撮影したパノラマX線写真上、下顎管の約1/2程度までインプラント体による下顎管壁の迷入圧迫を疑う所見を認めた。 |
試験中止 |
1. |
痛覚を伝導する神経線維はどれか。2つ選べ。 |
2. |
正しいものはどれか。すべて選べ。 |
3. |
セカンドオピニオンに応じられないのはどれか。2つ選べ。 |
4. |
次の組み合わせで正しいものを全て選べ |
5. |
現在、味覚検査に用いられてきたテーストデイスクは試薬の保存期間の問題から販売が中止されている。そのため施設ではそれに準じた味覚検査試薬を作成しなければならない。 |
6. |
人工材料を用いた神経再生誘導術について記せ。 |
7. |
末梢神経損傷の分類(Seddon分類、Sunderland分類)について説明せよ。 |
8. |
下顎枝矢状分割術術後に発症する顔面神経麻痺症状について考えられる原因を3つ説明せよ。 |
9. |
17歳の男性(身長170cm、体重65kg)。右側下唇の「しびれ」を主訴として来院(初診)した。2週間前に近歯科医院で右側下顎智歯を抜歯したという。抜歯した歯科医院からの紹介(情報提供)はない。「しびれ」は抜歯直後からあったが、徐々に回復してきたため、2週間様子を見ていたという。検査の結果、口唇部の2PD、SW知覚テスターで左右差は無く、自覚症状も回復傾向で、生活に支障はなく、違和感(VAS:7mm/100mm)が残る程度であった。治療方針として、メコバラミンを処方することとなった。 |
10. |
保険収載されている精密触覚機能検査で定められているS W知覚テスター(Semmes-Weinstein monofilaments) を用いた極限法(段階法)(Method of limits (Stair case method) )について実施方法を具体的に記載するとともに下図に継続して計測の一例を記載し(自身で考えた架空の検査結果で良い)、図の中で最小上限閾値、最大下限閾値を示し、その場合の診断値となる触覚閾値を示しなさい。 ![]() 極限法についての説明(上記で作成した図を用いても可) |
1. |
本学会が定める口唇・舌感覚異常の診断手順について正しいのはどれか。1つ選べ。 |
2. |
末梢神経線維について正しいものを選べ。 |
3. |
「歯科治療による下歯槽神経・舌神経損傷の診断とその治療 に関するガイドライン(2019年)」において、三叉神経損傷後の初期における感覚障害の治療として中等度のエビデンスを有し、弱く推奨されているものを2つ選べ。 |
4. |
35歳の女性。 |
5. |
神経血管圧迫症候群に含まれる疾患を全て選択せよ |
6. |
一般開業医(いわゆるGP:General practitioner)レベルの処置において、下唇やオトガイ部領域に知覚異常を発症させる原因について、症状の程度や頻度を含めて述べよ。 |
7. |
異常感覚の種類について列挙し、それぞれ簡潔に説明せよ。 |
8. |
末梢神経が切断された場合の変性と再生過程と外傷性神経種の形成過程について説明せよ。 |
9. |
口腔癌に対する根治的頚部郭清術において損傷する可能性がある脳神経を2つ挙げて、損傷により出現する神経症状とその治療法についてそれぞれ述べよ。 |
10. |
口腔顔面を支配する運動神経に見られる痙攣について各神経に分けて疾患名並びにその症状について記載せよ。 |