2005年12月15日発行:Vol.72
編集:大場

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 前回は、機能美の有る歯並びとかみ合わせに付いて触れました。審美歯科治療の中には最近女性誌などにも取り上げられることが多くなってきている『歯のホワイトニング』(ブリーチング)と言う分野も有ります。『歯の美容』とも取れるこの『ホワイトニング』に付いては、希望される方々には注意して頂きたい事があります。

 それは、歯の色に付いてですが、そもそも我々日本人は黄色人種として、欧米の白人のような白い歯とは言えない歯の持ち主である事を自覚してもらいたいのです。乳歯の頃のように比較的白い歯の時期もあるのですが、永久歯になってからは、個人差はあるものの一番きれいな歯の色と言えば『真珠のような色』、さらにはその色が若いうちは透明感があり透き通った色である事。決して紙のような白い歯では無いのです。(特殊な方法として歯の表面へ爪のマニキュアの様に白く塗る方法はあります)

 『ホワイトニング』を希望される時に、もっと白く!もっと白く!!と望んでも紙のように白い色にはなりません。もし成った時にはそれは歯の表面が侵されて脱灰と言う状態で、健康な歯の表面では無くなった時かも知れません。そうなると、歯が凍みる知覚過敏という状態になったり、虫歯に成りやすくなったりします。

 『ホワイトニング』と言う『歯を白くする行為』は本人の歯の色を現在よりも白く明るく綺麗な色に変えることは出来ます(歯の色見本で数段階今よりは白い色や透明感のある色を手に入れることは出来ます)が、それは個人差があり全ての人が同じ色には成り得ません。多くの人が望む芸能人やモデルの歯のような白く輝く歯の色(写真やテレビで見る場合照明技術などでかなり強調されている事を忘れないで下さい)や、紙のような白い色の歯の色にする事は難しい事なのです。それに、前歯をぶつけたりして黒ずんでしまった歯の色を元の生まれたての頃のような歯の色に完全に戻す事もまず無理でしょう。また、生まれながらに永久歯が何本も全体的に着色している歯(お母さんのお腹の中に居る赤ちゃんの頃に影響を受けたりして出来る着色)は、表面ではなく中から歯全体が着色している為にこれも完全に白く透明感の有る歯の色に変えることは難しくなります。

 『ホワイトニング』(ブリーチング)は、強い濃度の薬剤で行ったり、無限に繰り返して一時期に行うべきでは有りません(衣服の染み抜きのブリーチングとは異なりますが)。やはり歯に対しては異害作用が起きやすくなります。また、有る程度経年変化による着色が起こる為に後戻りが有ります。定期的に行いましょう。


 詳細はスタッフまで・・・
 〔院長〕

 定期健診について今まで何回か書かせていただきましたが、痛くなったり、腫れたり、何らかの症状が出ないかぎり歯科には来院しないといった方、来院しても痛い所だけの治療のみといった方は、定期的に来院している方に比べて、平均残存歯数(自分の歯の残っている数)が少なくなってしまいます。11月に出席した「メインテナンスルネッサンス」の国際シンポジウムの中でも統計が出され、定期的に来院している人とそうでない人の平均残存歯数の差は約10本になるそうです。大人の歯は全部(親知らずを除いて)で28本ですから、10本の差はとても大きいと思いませんか?定期的に来院しているといっても、2ヶ月ごとだったり、半年ごとだったり、1年ごとだったりと人それぞれですが、重要なのは、自分の体の一部として関心を持ち、大切に扱えば、歯も長持ちするという事です。そして最近では、痛み等が無くてもクリーニングだけに定期的に歯科に来院している方も増えてきているのです。
 今、あなたの歯は何本残っていますか?あなたの体は健常ですか?口腔内も含めて全部を定期的に検診を受け、大切にしていっていただけたらと思います。
歯科衛生士 大場 智子