槍岳山荘からの電送。

『山小屋便り』 平成15年9月26日掲載

前回につづき今回の連休も初日から雨で、中日になってやっと晴れるということに
なった。今回は、折角のお天気がもったいないので1年ぶりにキレットから北穂、涸
沢に行きました。
8時半に山荘を出て、南岳小屋でお茶と早お昼、北穂高小屋、涸沢小屋でお茶と各駅
停車で、涸沢ヒュッテに4時過ぎに着いて泊めていただいた。
A沢のコルから登っていくと、3人ほどの男女の登山者がいて、「あら兄さん早いわ
ね」(ちなみに小生54歳四児の父、兄さんには程遠いが、登山者のおば様よりは若
かったかもしれない)と呼ばれて、「そういえばさっき上から降りてくる人ちっとも
こないわね」という会話を聞きながら、先を急いだ。北穂高小屋のお兄さん(こちら
は本当のお兄さん、山小屋の主人には珍しい独身の音楽家)とお話をしていたら、お
客さんから、ザックが落ちているという話があって、これからナベさんに見にいって
もらうとのこと。1時間ほどお邪魔して、涸沢小屋で若主人と番頭さんとまた1時間ほ
どお話して、涸沢ヒュッテにつくと、「キレットで滑落事故、飛騨側に落ちたそうだ
から、助からないね。康ちゃん知らなかった?」という話。じっと手元足元を見て
登っていたので、何も気づかづに来てしまったが、直ぐ横で事故が起っていたみたい
で、ちょっとびっくり。
「こんなに天気が良くても事故は起るんだ。」という感じです。登山者の皆さん、く
れぐれも注意してください。
A沢のコルからの南岳、笠が岳、北穂高小屋直下の登山者の絵を送ります。
槍ヶ岳山荘 穂苅康治