7月5日(月) 
今日はいい天気になりました。
昨日はいつまでもしつこく雨が降ったりやんだりの一日で視界もほとんど利かなかった。
でも、こういう朝を迎えると気分もリセットされて、清々しい気分になります。

今日は朝のうち、天狗沢のルート確認&ペンキ印付けに行ってきました。



個人的にですが、岳沢を担当するにあたって、
この天狗沢のルートをもっと積極的にプロモーションしたいと考えています。

正直な話し、天狗沢を歩いたのは今年の5月の中旬が初めてです。
でも、日頃から眺めたりしてこの沢のルートが持つ資質はしっかり感じていました。

ここは奥穂〜西穂縦走時のエスケープルートとして捉えられています。
確かに初心者などが間違えて踏み入れば大変な目に遭うと思います。

ところが、上級者・健脚者にとってはここはとっても面白いコースだと思う。

岳沢をベースに→天狗沢→天狗のコル→奥穂高岳→吊尾根→重太郎新道→岳沢
というのはとっても魅力的な「トライアングルルート」です。

ぜひ、足に自信のある方には挑戦していただきたい。
そうとうな満足感を味わえると思います。
 (軽い荷物で楽しむのがポイント、不要な荷物はお預かりいたします)


それ以外にも岳沢までが目的で訪れたハイカーでも、
岳沢の奥の万年雪に触れて涼んだあとに、小屋からほんの15分だけ足を延ばして天狗沢の下部へ行ってみれば、見下ろすお花畑と上高地。頭上には見上げんばかりの天狗岩の岩峰。

ただ、岳沢小屋まで来て帰るよりも3倍くらいは山の楽しみを感じられそうな場所です。
重太郎新道のような危険な岩場やクサリ・ハシゴ場もありません。


ただ、天狗沢の道はけっしていい道ではありません。
今日、歩いた感想は「この道はあと5年放置してたら廃道になるな」と。
 (ハイカーが楽しむ程度の範囲の道はそんなに悪くはありません)

登山道が荒れる人為的原因は二つあります。
ひとつはオーバーユースによる荒廃、例えば「洗掘」(せんくつ)などが良い例です。
もう一つは「放置」されることによる荒廃。
 (登山道荒廃の最大の原因は「自然災害」が)


人が歩くことによって荒れる登山道もありますが、
人が歩くことによって登山道が維持される場合もあります。
天狗沢は間違いなく後者の例です。

一年やそこいらで、この道を良い道にしようなんて大それたことは考えていません。
我々が力を注げられるのは目印付けと草刈りくらいです。
でも、それによって登山者が増えていけば、ここは良い道になると思いました。

重ねて言いますが、岩屑だらけでけっして良い道ではありません。
でも、人がたくさん歩くことによって良い道になる可能性をもった道です。

これからたくさんの登山者が通って、良い道になればいいなと思っています。
くれぐれも怪我などのないように。

あと、天狗のコルまで目指す場合、7月いっぱいはアイゼン必携です。
できれば8月以降、特に秋の花咲く初秋あたりがおすすめです。