2007年05月28日発行:Vol.85
編集:森口

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 皆さん、唾液(だえき)は口の中でどんな役割を果たしているかご存知ですか?
一見、唾液と虫歯・歯周病などは関係のないもののように思えますが、実は大きく関係するのです!今日はあまり知られていない唾液の役割を、皆さんに知ってもらいたいと思います。
 口のなかを常に潤している唾液は、おもに3種類の大唾液腺(耳下腺・顎下腺・舌下腺)という組織によって分泌されています。耳下腺は耳の手前辺り、舌下腺・顎下腺は舌の裏側辺りです。食後の口の中は、虫歯菌にとっては歯を溶かすための材料となる糖分が豊富で、最も虫歯になりやすい状態になっているのですが、大唾液腺からは大量の唾液が出るため、それら糖分などを迅速に洗い流し、浄化していきます。一方、唾液の出口から遠いところは唾液の流れが悪いため、虫歯になりやすくなってしまいます。そのため口の中にも虫歯のなりにくい場所となりやすい場所ができてしまうのです。
唾液はその他にもいろんな働きをしています!!
 唾液のなかにはアミラーゼという消化酵素が入っており、口の中に入れたものを一番最初に分解し始めます。そして、そのあと送り込まれる胃や腸での消化、吸収をすばやく行えるように助けます。また、唾液に含まれる成分のなかには虫歯菌以外の細菌を抑える免疫物質や抗菌物質も入っていて、ガンの発生物質に対して働くことが知られています。他に、少しではありますが歯の再石灰化効果も期待できます。さらに適度な唾液は入れ歯の脱離に抵抗する維持力も発揮します。
 このように、唾液は私たちの口の中で大変重要な働きをしてくれるものなのです。
そのため唾液の分泌が悪くなると、口の中は様々な悪影響を受けることになるのです。唾液の分泌が悪くなる=口の中が乾燥(口腔乾燥)しやすくなることを意味するのですが、口の中が乾燥すると虫歯になりやすくなります。また、粘膜が切れやすくなり出血したり、さらには物を飲み込む事が上手にできなかったり、味覚の異常、会話の障害、入れ歯も上手に使えなくなったりします。
 唾液を多く分泌させる方法としては、物をよく噛んだり、食事時にお茶を飲むなど水分の補給に努めたり、噛む回数を多くしたり、顎をよく動かすことが有効とされています。
 歯の数が減ると噛みにくくなり、噛む刺激がなくなるため、唾液の分泌も低下してしまうので、歯を失ってしまったら欠損補綴処置をして、どんどん物を噛むようにしましょう。
(衛生士・金田)

(歯科衛生士 小原)