予防歯科治療について《2》 |
先月号では、予防歯科医療の重要性とこれからの必要性について述べました。今回はその続きと、具体的にどのような方法があるのか述べてみたいと思います。
近年、歯科検診などの普及で早期発見、早期治療が行われつつ有りますが、それでも全人口からみれば、まだまだと言ったところでしょう。しかも、予防として大事な時期(歯の生え初め直後、永久歯列の完成時)を、はずさぬように検診とアドバイスを受けられる方がどれほどおられるでしょうか?そして、そのためには「年に1〜2回」の《定期検診》が大変重要となるのですが、それを受けている方々は非常に少ないのが現状です。
歯科に関する病気は、大変怖いことですが、自然治癒と言うものが有りません。進行の速度は人によってまちまちでも必ず「悪くなる一方通行」なのです。治療によりどこかでくい止めるか、進行速度を遅くしてあげない限り、病状は加速度的に悪くなります。
「咬む力」を考えた場合、仮に「総入れ歯」になったとすれば、全歯牙(28〜32本)のある人の良くても1/5程度、悪ければ1/10以下という統計もあるくらいです。また、「咬む力・刺激」と言うものは頭への刺激となり「痴呆やボケの防止」にも役立っているそうです。外国の情報ですが、ある施設での統計では、痴呆患者の実に8割の人は噛み合う奥歯が無かったそうです。また過去には「咬む力の無い子供は頭も弱い」という本を出した歯科の先生もいます。自然界の中で、動物は「牙」(歯)を失えば食べることができなくなり、それは死を意味します。人間は文明の進歩により食べ物を加工することにより、食べることは何とか成りますが、やはり全身の健康を維持するうえで、お口の健康や噛み合わせの健康は重要です。
予防の具体的な方法として、歯科における2大疾患、カリエス(虫歯)と歯周病(歯肉炎・歯槽膿漏)が有ります。
・カリエス予防として、歯の生え初めの時からの「フッ素による歯質強化」「
砂糖(ショ糖)・おやつ・食事に対する指導」「ブラッシング指導によるプラー
クコントロール」「奥歯の噛み合せの溝への予防充填処置」などが有ります
・歯周病 予防として、「定期的な歯石・プラークの除去」「プラークコントロー
ルと歯肉マッサージのためのブラッシング指導」「バランスの悪い噛みあわ
せによる歯周病悪化との関係で、噛み合わせ調整や矯正治療」「歯周病
と全身との関係での健康管理」「喫煙と歯周病の悪化関係での減煙もしく
は禁煙」などが有ります。
他に 咬合病 (噛み合わせの異常に起因する病気で顎関節疾患の一部など)予防として、「お口全体のオーラルリハビリテーション処置」「咬合調整」「矯正治療」などがあります。
総合的な予防としては、ブラッシングやプラークコントロールのしやすさ、バランスの良い噛み合わせのための「歯列矯正治療」というものも大切となってきます。次号からはより詳しく予防方法に触れて行きたいと思います。 (院長)
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