大天井ヒュッテ/大天井岳周辺最新情報
『山小屋便り』                平成22年8月27日 

今日は、乾燥した澄んだ空気の朝を迎えました。
それでも連日と同じように昼頃には雲に太陽は遮られ、屋根の布団を急いで取り込まなければならない程にあっという間にガスガスとなってしまいました。

このパターンの天気はまだ暫くは続きそうです。早出にて行動すれば素晴らしい展望も堪能できます。
早朝からの快晴の北アルプスは見逃せませんよ。

山登りって皆さんそれぞれ目的があり、その目的に応じた山に出かける訳ですが。
今日ご紹介したいのはとても興味深々、ロマンのある登山をされていらっしゃるご夫婦のお話です。

日本百名山や百高山等を目標に定め、登山をされる皆さんは良くお見かけ致しますが、お二人が目指す山は2,500m以上の三角点を持つ山と地図上の2,500m以上にあるピーク(山名の無い場所も)を全て網羅する事が最終目的とされている東京から来られた野辺さん(70歳)ご夫婦です。

実は5年前ヒュッテに宿泊されて一日目に西岳南東に位置する赤沢山(2,670m)を登って、二日目に牛首山(2,553m)を目指したのですが途中で断念。この5年間の間に「このやり残したままでは死ぬに死ねない」と言うほどに思いが高まり、再度そのリベンジにヒュッテに宿泊されました。

この牛首山という山は、いつも牛首展望台(2,766m)をご紹介しておりますが、その西北西に下る尾根上にあるピークと言うよりはコブと言った方が当てはまる山なんですが、ここにその昔測量のために埋め込んだ三角点の石標があるんです。(それでここには山の名前がついたのか?)

私も牛首山までのルートを「知っておかねば」と思い、数年前に一回牛首山まで行った事がありますが、何度途中でやめようかと思ったか解りません。それ程に牛首山までのコースは辛い苦しいルートとなっています。それは背丈を越すハイマツ帯のブッシュ漕ぎに終始する難ルートだからです。もう2度と行こうとも思いません。

朝7時にヒュッテを出られて悪戦苦闘の末、見事に登頂を果たし戻られたのが午後2時前。大変な体力を必要とするこのルートから帰られ、疲れている事は歴然ですがとても清々しいお二人の顔を見て、達成感の喜びを感じました。帰られた第一声が「辛かったけど楽しかったなあ」の一言でした。
只、奥さんの目が蚋に刺され腫上がっていたのが痛々しかったです。

野辺さんのお話によると、2,500m以上のピークと言うのが無名の山を含めて日本全国に250以上あり、その最終で残ったのが牛首山を含む4座のみ。これで牛首山を制覇されたので残り3座という事ですが、これが厄介な山ばかりにて、硫黄岳(2,553、6m)を含む危険極まりない3座という事で、今回の牛首山にてご自身の思う山は全て完登という満足感一杯のお二人でした。

自分の目標とする山を登り続ける、それを実行する行動力と、何年も続けられる精神力の強さと、そして夫婦の絆に感動させられました。有難う御座いました。お二人に拍手を送りたいと思います。

                 奥さんの目が腫れた写真で申し訳ありません

夕焼けウォッチング

昨日、お客様の夕食が終わってから上空が空けてきて、展望台を目指すお客様が数名。
後を追いかけて登ったのですが展望台に到着時には見えていた槍ヶ岳が二の俣側から湧き上がるガスに
展望台がスッポリと覆われるのにそう時間がかからずあっという間に闇と化してしまいました。

その前に写した唯一の写真です。
右側から湧き上がるガスに覆われていく大天井岳。

朝焼けウォッチング

展望台に登ってみると、常念岳の上空に焼けてくれそうな雲があって
次第に赤く染まっていく空を眺めながら日の出を待ちました。

手前左が常念岳。奥に南アルプスの北岳〜塩見岳が見えその上空がこのように真っ赤に焼けました。

槍ヶ岳に陽射しが差し込むのを待つ展望台。この後さらに4名登ってくれました。

乾燥した澄んだ空気のおかげで今日はくっきりと赤く染まる槍ヶ岳が見られました。

久しぶりに赤く焼けるモルゲンロートを堪能しました。