大天井ヒュッテ/大天井岳周辺最新情報
『山小屋便り』                平成21年10月9日 

台風18号は、各地に沢山の被害や犠牲者を出して通り過ぎていきました。
ここ北アルプスにも直撃となりそうな進路だったため、万全の台風対策をして構えていたのですが・・・・。
あれ!風もないし雨も普通の低気圧通過時並み、何か肩透かし食らったような。
長野県は、南信地方の飯田を通過後、関東方面へと進路を変えたためか、我が家(飯田市の近く)でも殆ど風は無かったようでした。
前評判の大型台風だった割には、北アルプスには殆ど影響はありませんでした。それでも槍ケ岳〜穂高岳の3,000mの稜線では息使いの荒い強風が続いたようです。
大天井ヒュッテで被害と言ったら一つだけありました。それは、このHPアップするための無線が使えなくなった事です。中継地点となっている北穂高小屋のアンテナが強風により落下してしまったとの事でした。
まー昨日は写真もネタも何も無かったので良かったのですが、、手を抜いたわけではありませんよ。

その後午後からは、ヒュッテでも北風が吹き出し雨が雪に変わっていました。舞う程度の雪でしたが夕方まで続き、寒気が入り込んだ冷え込みは相当なものでした。

そんな訳で今朝は北アルプス初冠雪の写真が撮れるかと思い玄関を開けてみると景色は全く見えないガスガス状態。
それでもと思い展望台へと登りました。途中、ハイ松の葉には氷が張り、踏み出す登山道には霜柱が、しかも踏んづけても潰れない氷となっていて、ダケカンバの枝には霧氷が張り付き、今までとは別世界が広がっていました。それもそのはず、今朝の気温マイナス5℃。
展望台では、北風と共に速い速度で天上沢から吹き上げるガスが全ての色の世界を消し去って白の強弱を見せるのみ。寒さも半端ではありません。
それでも、雪を纏った槍ケ岳や穂高岳が一瞬でも見られれば、と粘っていると、我慢した甲斐がありました。
一瞬、ほんの一瞬だけガスが途切れたのです。
あわててシャッターを切った直後には元の白い世界に戻っていました。
きっと槍ケ岳や南岳から見ていたらここは雲海の下なのでしょうね。

5時半に登って来てこの写真撮れたのが6時7分でした。我慢した甲斐がありました。

その明け口のガスを追って南岳の初冠雪写真も何とかゲットできました。
丁度朝日が射し込み綺麗でした。

ヒュッテに戻り朝食を食べている厨房窓からそれまで雲に覆われていた裏銀座が顔を出し始め、
外に飛び出してみると、流石に穂高岳方面よりも北にある山並、雪の量が違いますね。

その後槍見坂に登ってみました。
白くベールを纏った穂高岳〜槍ケ岳の稜線が輝いて見えました。

牛首展望台のダケカンバの霧氷とハイ松の上に粉雪と霜がのって白くなっていました。

陽射しが差し込むと白い花が満開となったよう錯覚する程に輝きだしました。

綺麗な氷の世界です。

朝仕事を終え、久しぶりに布団を干して再度展望台に登ってみました。
朝は白しか無い世界でしたが、太陽の光って凄いですね。随分と融けてきていました。

この時一瞬だけ野口五郎岳のガスが取れてくれました。
冬型の天気特有の、この後午後には再び雪が降っていそうな分厚い雲が覆いかぶさっています。

今日始めてハッキリと確認できた槍ケ岳です。
陽射しのあたる場所は既に雪は融けています。
さて明日からの連休、天気は心配ないと思いますが、寒気はきついです。
今朝の気温がマイナス5℃、最高気温がなんとマイナス2℃なんです。
夜間水道パイプの水抜きをしてあったのを、朝通しました。最初は水が出たのに一回止めたら再び凍り付いてしまい、日が照る10時過ぎまで使えないほど。
屋根の霜が太陽の熱で融け、軒先から落ちる間に凍りつき氷柱となる。
トイレ掃除用のドラム缶の水には5cmの氷が。割ってトイレを掃除途中に再び凍りだす。
等々、この寒気は明日以降も続きそうですから防寒対策は万全にてお願いします。

追伸
思っていたほど積雪はありませんでした。アイゼン、ピッケルは大天井ヒュッテまでは要りません。

12日宿泊までOK
ご連絡頂ければ12日宿泊まで可能です。あらかじめご連絡下さい。

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