大天井ヒュッテ/大天井岳周辺最新情報
『山小屋便り』              平成21年9月13日 

昨日、猛烈な風雨の中、低体温症寸前の状態でヒュッテに到着されたお客様、身体がガタガタ震え自身では、合
羽も手袋も、靴も全て脱ぐ事さえできず、手助けして脱がせストーブにて暖まってあった談話室に担ぎいれて、とり
あえず身体を暖める事およそ一時間。真っ白に変色していた顔色が赤みを帯びてきて、暖かいコーヒーを飲み、
正気に戻る事が出きました。
夕食を綺麗にたいらげてホッとしました。

同じ時間同じように歩いてきた登山者の皆さんは、このような事は無く、何故この登山者だけこのような状態に
なってしまったのか?
答えは、その装備にあります。
到着されたお客様は、燕山荘からの縦走中、強い雨と20m〜30mの風と戦いながらヒュッテに辿り着いた皆さ
んです。皆トムラウシでの遭難を思い浮かべ、自分達自身にも同じ身の危険を感じながら歩き続けて来たそうで
す。
そんな過酷な条件の中、脱がせた合羽の重量は極端に重く、ズッシリと雨を含み中のシャツもズボンもずぶ濡れ
の状態だったのです。つまり雨具が雨具の用を足していなかったために一人この状態に陥ったと言う事なんです。

登山される殆どの皆さんはこの頃ゴアテックスの良い合羽を身に着けていますが、やはり合羽は高くとも良い物を
選ぶべきですね、それが正に身を守る手段になった今回の例です。

今日は、朝から雨は止んでくれ、日差しも時折射す天気となってくれましたが、早朝1℃だった気温はガスが取れ
青空が少し覗きだした6時以降氷点下0℃に下がって、冷たい北風は昨日ほどではないけれど吹き付けて、上空
の雲の動きの早さに驚かされ、最高気温でも4℃までしか上がらず、午後から又下がりだした。
午後には一面雲に覆われてきて槍ケ岳方面には雪が降っているようだ。
そんなさむーい一日となっています。

明日以降の天気ですが、明日の朝は、ヒュッテの標高でも氷が張りそうな程に更に冷え込みそうです。
日中は穏やかな好天が期待できそうです。
その後、北アルプスには雲が多めとなりそうですが、それなりに良い天気が続きそうです。
冷え込みも一段落しますが、例年よりは冷え込みは厳しそうですから、装備のチェックは重要ですよ。

この写真を見ると、とっても良い天気のように見えますが、3千mの山並は全てガスの中ですから。

大天井ヒュッテ 小池

朝仕事をしている途中ふと窓の外を見ると見事な虹が中東沢に出ていた。
毎年何回か目撃しますが、今朝の虹はとても濃く正に虹色でした。
こんな写真を見るととても天気が良いように見えますが、いつも見えている穂高岳〜南岳には厚い雲が覆い尽く
していて、その雲が物凄いスピードで伸びて来てはちぎれて消えていく。
風の強さを目で見る事の出来る雲の動きでした。