大天井ヒュッテ/大天井岳周辺最新情報
『山小屋便り』                平成21年9月 8日 

北鎌尾根報告です。
北鎌尾根の状態は、貧乏沢、北鎌沢を含め全般的に変わった事はありません。
一つ感じた事は、尾根上のルートに足跡が多くなった事でしょうか。
以前には、トラバースルートの足跡が多くしかも何本かのルートがあったり、行き止ると引き返すためにより明確な足跡となっていて迷いやすい場所となっていました。今でもありますが。
私が尾根上のルートを通り出した頃には踏み後は皆無でしたが、今回行ってみて随分尾根上を辿る皆さんが増えたんだなあと感じます。
只、何パーティーかいる場合、下のトラバースに登山者がいないか確認する必要があります。落石には充分の注意をはらって欲しいと思います。

                       貧乏沢の下降について

今日時点の日の出が5時30分、
月明かりが明るいとはいってもあの貧乏沢の下降点からのハイマツ帯から石ゴツのガラ場歩き、浮石の多い沢伝いの下りは明るいときでも極めて危険な場所と思います。出来ればヘッドランプの灯りを頼りにするよりも、太陽の力を借りて下降する事が安全面からいってベターだと思います。
暗いうちは要する時間や危険性から言ってお勧めしません。
ヒュッテを3時に出られたお客さんに4時45分に出発した私と出合ったのは天上沢に出る貧乏沢の出合い前でした。(3時に出られたと言う事は2時間近く暗闇の中を下降していたはずで、その神経の使い方や体力の消耗は私より遥かに大きくなると思われます。)
早く出たいと言う気持ちは良く解りますが御一考を。

                       最終水場は何処か?

このところ好天続きにて雨が降っていません。雷雨や天気が悪い日もありましたが、まとまった雨と言ったら3週間以上降っていない状態が続いています。
そのため、わりと水量の多い左俣でも例年に比べて半分程度の水量です。右俣に入った時点では全く水は流れていません。左俣と分かれてから100mくらい登った所の滑滝の場所でかろうじてボトルに汲めそうな水の流れがありましたが、その上部には全く水を補給する場所はありません。
結論からいって左俣の合流地点にて補給しましょう。上部の水の流れは弱く何時枯れるかわかりません。
それと水は一人3L程度は携行しましょう。もしビバークなんて事になったらこれが最低限です。

今回の北鎌は、最高の天気に恵まれて、久しぶりの楽しい偵察となりました。
それと、何年か前から始めたゴミ拾いもしてきました。
昨年までは、悪質なゴミ投棄があって腹立たしい思いで北鎌尾根自体も楽しめなくなりましたが、今回のゴミは
昔、冬季や春に登ったであろう錆びた空き缶や壊れたウイスキーの瓶、ザックから外れて落としてしまったマットやビニールシート、ビバーク後撤収し忘れたと思われる小さなゴミ等々にて、やれやれと言った感じでした。
間違いなく故意で埋めたビール缶等もありましたが数年も前の投棄物で、入山した登山者が少なかったのか?マナーが良くなったのか?・・・自分としては後者であって欲しいと願っています。

大天井ヒュッテ 小池

この場所が北鎌沢のコルに出る最終地点です。
右俣を右へ右へと言って最後の詰めで右に入りすぎ、危険な岩場を登れず引き返したり、ハイマツ帯にてヤブこぎを強いられ体力を消耗してしまったりと言う事をよく聞きます。
この地点、中央の岩場(草付き)に取り付けばOKです。北鎌沢のコルまでは50mの位置です。

初めて独標の雄姿が見られる場所は、北鎌沢のコルからハイマツ帯の急登を100m程登った地点だ。
迫力と威圧感を持って聳え立つ北鎌独標。

槍ケ岳の穂先が遥か向こうにそびえたっている。
独標基部手前。

今回は久しぶりに、独標トラバースから直登してチョックストーンのルートから、独標の頭に出た。
他のパーティーがいた場合は落石の危険あり。

独標からの槍ケ岳。
この場所は何時来てもいい場所です。もちろん天気が良くなくてはつまらないですけどね。
独標トラバースをそのままトラバースして行くとこの場所には立てません。
トラバース途中のハーケンの打ってあるチムニーを越えたバンドから真上にある緩いスラブを登れば独標の頭近くに辿り着けます。(チョックストーンの場所は見つけづらいと思います。

P15からの槍ケ岳。尾根伝いで登れば槍ケ岳が徐々に近づく事が良く解ります。
ここをトラバース道を行くと見え隠れする槍ケ岳がチラチラ見える程度です。

北鎌平から見上げた槍ケ岳。
ここからの登りが疲れた身体に追い討ちをかけます。
見えていながら近づかないって感じですね。

今回、回収できた投棄物です。
去年までに比べたら随分少ないです。
毎年毎年減っていって最終的にはゴミが何にもなかったなんて報告が出来る時が来ればいいんですけどね。
テントマットは、貧乏沢の下降中に拾った物です。

北鎌尾根とは、関係ないのですが、
この頃のザックは、ザックの外側に色々取り付けられるようになっておりますが、基本的にはザックの中に全ての物を入れ、外側には出さない事が望ましいと思います。
このマットもザックの外側に装着していたのが、何かに引っかかって外れてしまいそのままゴミとなったと思われます。
良くザックのサイドポケットにペットボトルを入れていたり、ビニール袋をザックに引っ掛けて歩いていたりと言うのを見かけますが、ちょっとした事で落としてしまったり、引っ掛けてなくしてしまったりという事が良くあると思われます。それらは全て山の中ではゴミになってしまう訳で、全ての荷物はザックの中に入れ込む事をお願いしたいと思います。