大天井ヒュッテ/大天井岳周辺最新情報
『山小屋便り』              平成21年8月29日 

朝から降り出した雨は、午後から止んでくれ、風も比較的穏やかで日差しも射し込んだりして到着されたお客様
の雨合羽等は外で干して乾かすほどに快復しています。
明日以降は湿った空気が入りやすいため曇りがちの天気となりそうですが、雨は少ない模様です。
小笠原諸島付近に発生した台風11号の今後の動向が気になるところではありますが。

良くお客様に「この先の登山道で危険なところはありますか?」とか、「鎖とか梯子が出てきますか?」
等聞かれます。
そんな時、決まってお答えするのは、

梯子や鎖があるから通れる訳ですね、なかったら通れませんよ。
登山道に危険ではない所はありません。一番危険なのは、皆さんの気持ちです。
たとえば、梯子とか鎖場とかでは皆さん緊張しますから慎重に行動しますよね、気持ちも張り詰めていますから
そういう場所では皆無とは言いませんが、滅多に事故は起きません。
一番危険と思われるのは、そういう危険だと思われている場所が終わってホッとして、緊張感から開放されたよ
うな時、心に隙間が生まれるんです。何気なく歩いていて木の株に足を引っ掛けて、手をついたら谷底だったと
か。思い当たる節ありませんか?
車の運転でも、よそ見したり、携帯したり、何かを取ろうとして運転に注意力が散漫になった時に事故って起きる
ものですよね。山も一緒でその危険な場所よりも、注意力が欠けた時に一番事故は起こりやすいものなんです。
更に、歩行上の事故は登り状態の時は殆どが滑落とかスリップとか捻挫するとかはありません。大概は下りの登
山道で事故は発生します。その中でも滑落事故は要注意です。下りで転ばないと言う事が一番大切です。
何故なら命に関わります。
後はもう下りだけと思って、気持ちが散漫で足元をしっかり見ながら歩いていなかったり、足の疲れがピークに
達してしまっていたりで、それこそ何でもないような場所で捻挫や骨折、そして滑落事故は発生しているんです
ね。
ですから、気をつけるべきは登りではなく下りだという事を判って欲しいと思います。
もちろん予期できない落石とか、雷とか、天候の悪化とかの遭難案件とは別次元の話ですが。

対策としては、やはり登山に耐えうる筋力保持が一番だと思います。長い行程を歩いたり、高い標高差を登るた
めのトレーニングを常日ごろ実践している事が最大の対策でしょうか。

今日はガスで周りの景色は全く見えないためヒュッテ敷地内に咲くコマクサとトウヤクリンドウの姿を送ります。

大天井ヒュッテ 小池

先日の霜を受けたためか葉が少し黄色くなっていますがご覧のように蕾の花もあってまだまだ楽しませて
くれそうです。

トイレにて用を足しながら窓越しに一株の白い花が目に入ります。
それがこのトウヤクリンドウです。