大天井ヒュッテ/大天井岳周辺最新情報
『山小屋便り』              平成21年8月23日 

早朝の気温は6℃とグッと冷え込み、しかも北風が強く吹いていて体感温度は更に2.3℃寒く感じるほどでした.
午前中こそ大空に雲が広がっていたのですが、お昼頃より風も止み雲も消えて快晴の秋空となっています。

早朝北鎌尾根に向けて出発されたお客様が2名10時半頃戻ってきました。
何かアクシデントでも?と思い訪ねると、「貧乏沢の下りで足を捻挫したらしい」との事。怪我をした状況を聞いた
り足の様子を見てみるとどうもアキレス腱を切ったようだ。
これではとても自力下山はおぼつか無いと思い、救助ヘリの要請を勧め、長野県警による救助をお願いしまし
た。
ヘリが飛び立ってから岳沢にも緊急要請が入り、その救助後ヒュッテのへりポートへも跳んできてくれ、ホイスト
によるヘリ収容は瞬時に終了しました。

今回、事故は起きてしまったのですが、その中で幸運だった事は、まず単独ではなかった事、パートナーが当
事者のザックを担ぎ、歩行を助けながらヒュッテに戻って来られた事。
(もし単独だったらと考えてみて下さい。アキレス腱を切ったらほぼ歩行不可能です。その状態で携帯も繋がら
ない場所、しかも貧乏沢のど真ん中、下る事も登る事もほぼ不可能に近いと思われます。私も偵察等単独が多
いため、今後よりいっそうの注意が必要と認識を新たにしたところです。)
更に天気が良くヘリが問題なく飛べた事。
(もし天候が悪くガスっていたり、風が強かったりした場合はヘリは飛んでくれません、何時間も何日もその場で
待機を余儀なくされる訳です。そんな時必要なものがビバ−ク道具と非常食、ヘッドランプに防寒具と合羽です。
軽量化したいのは良く解りますが、最低必要条件の装備を携行することによって自分の命が守れる事になりま
す。)

そして何よりもアキレス腱を切っていながら貧乏沢の途中からヒュッテまで辿り着く気力を持っていた事。
(貧乏沢を下りだして約1時間地点と言っていましたからほぼ中間くらいまでは下降していたはず。その場からヒ
ュッテまで登り返すのに5時間もかかってしまったとか。アキレス腱を切りながらの歩行は、経験はありませんが
足に全く力が入らず普通に歩く事さえ不可能に近い状態で「何とかヒュッテまで」と言うど根性。
捻挫程度で携帯がかかるからと言って、安易に救助要請を出す輩とは根本が違います。
各小屋にはヘリポートがあり、救助用の装備もあり、緊急の救助要員も居ます。自力でその場所まで辿り着こう
とする気力、行動が欲しいと思います。タクシー替わりに救助へりを呼ばないようお願いします。)

最近の山での遭難の救助はその殆どがヘリによる収容となっていますが、県警へりは無料という考え方があり
ます。
それは単に救助された方が支払う義務がないというだけであって、へりを飛ばすのに無料な訳ではありません。
その全てが税金によって賄われている訳で長野県警なら長野県民が、岐阜県警なら岐阜県民が補って居る訳
ですから「タダだから」という安易な気持ちだけは捨てて欲しいと思います。

大天井ヒュッテ 小池

朝の太陽の光は、穂高岳を鮮明に浮かび上がらせてくれました。
手前の赤岩岳もクッキリと存在感があります。

その穂高岳を右に、空の青さと、秋らしい雲と、中央アルプス連山(木曽駒ヶ岳〜恵那山)
どうです夏色と違いますよね。

ヒュッテ北側にあるお花畑からの高山植物です。
キオンと裏銀座

オヤマソバと裏銀座

サラシナショウマと裏銀座
です。