大天井ヒュッテ/大天井岳周辺最新情報
『山小屋便り』              平成21年8月9日 

早朝雨がショボショボ降っていたため、3時前に起き出し北鎌尾根に行こうと思っていた数パーティーのお客様は
出発を見合わせ、あるいは引き返してきて断念せざるを得ない天候となっていました。
その後午前中は、雲はあるのですが高曇りで遠望はきき、穂高岳や槍ケ岳も姿を見せていました。
時折ガスが湧き俄かに雨になったりと非常に不安定な天気でした。午後になって2,700mから上部は雲に覆わ
れ、山は見えなくなってしまいましたが風は無く雨も小康状態を保っています。
上空に雲の切れ間は無く暗い日中となっています。

南海上に発生した熱帯低気圧は明日も影響を及ぼしそうで夏の天気図とは程遠い感じです。
このまま夏を迎えず秋に突入なんてのは嫌ですねえ。

雲の隙間から差し込んだ朝日が穂高岳とその上空の雲を朱に染めた瞬間を逃してしまい、その後の写真はあり
ません。
そこで今日は高山植物の代表格、「チングルマ」の変身振りをご紹介します。
この写真、全て同じ日に撮影したものです。
                                                    (撮影は8月6日)

大天井ヒュッテ 小池

残雪が多く雪融けが遅かった場所では未だに花を咲かせる前のチングルマも見られますが、
満開となっているチングルマ。

しべが育つと花びらが落ちます。咲き出してから4、5日にて花びらはなくなります。

花びらが落ちた後、雄しべが育ちだす。

さらに種子として成長します。

約3cm程に伸びた雄しべが羽毛状になって光を浴びて輝いています。

どうでしょう同じ日にヒュッテの周りだけでこれだけの違いを見せてくれるチングルマ(稚児車)素敵な花ですね。
この後種子は風によって運ばれ芽を出します。

更に、秋になると葉は真っ赤に見事な紅葉を見せてくれ、シーズン中楽しませてくれる高山植物なんです。