大天井ヒュッテ/大天井岳周辺最新情報
『山小屋便り』 平成20年7月14日掲載

愚図付き気味の天気が回復状況の予報だった事と、来週にずれ込むと行かれる日が無い事から急遽北鎌尾根の
偵察山行を計画して、12日朝起きてみると晴れ間もあるのですが2,800mから上はガスに包まれ強風の風が
ヒュッテの窓をもゆすっていて流れる雲の速さは特急並みで、この風の中ためらいそうになったのですが午後
までには回復するだろうと腹をくくりヒュッテを後にしました。
北鎌尾根のルートについては今までの報告を見て頂き、今回は雪渓等のコース状況のみお伝えしたいと思います。

大天井ヒュッテ 小池

昨日、ビックリ平方面から北鎌沢の雪渓の残雪状況を見ておいたので雪量の多さは解っていました。
11日、赤岩岳方面から見た右俣と左俣。

貧乏沢の雪渓の残雪状況ですが、上部雪渓が600mあり、下部雪渓は約800mといったところで更に
下部雪渓から下に雪崩後の残雪が残っていました。
いずれも例年に比べると2m〜5m多く、7月中は残ると思われます。8月のお盆頃まで融けない可能性もあります。
考慮のうえ装備の検討して下さい。
貧乏沢上部雪渓
貧乏沢下部雪渓
下部雪渓から更に下に残る雪崩のデブリ

北鎌沢の入口は昨年並みで、夕べの雷雨の影響か水量の多さに驚かされました。

北鎌沢右俣には大きく分けて3箇所の雪渓が残っていてこちらの残雪も例年より多く特に最上部の雪渓は
80m程度ながら斜度がきつくなっています。
最上部以外の雪渓は来週(19日)までに消えてくれそうですが、最上部の雪渓は7月下旬近くまで残りそうな感じです。
右俣下部雪渓
右俣最上部雪渓と草付きの岩場

北鎌沢のコルから槍ヶ岳頂上までは、特別な変化はありません。
念のため、確認できた大きな落石を起こしそうな浮石は排除しておきましたが、多パーティーが取り付いた
時などは充分に気をつけて下さい。
天狗の腰掛からの独標。
ガスで見えていなかった槍が P 12頃より見え隠れ
北鎌平手前にて

天候は強風は強いものの徐々にではあるが弱くなり、2,800m上の稜線を暗く包んでいたガスも次第に取れ出して
独標過ぎた頃から槍ヶ岳の穂先も見え隠れしはじめて北鎌平付近からは勇壮なその姿を現してくれた。
北鎌平にて振り返る
ここより上部には流石に花は少ない

東鎌尾根をヒュッテに帰る途中、北鎌尾根を見上げると自分の通った稜線が手に取るように解り、
その幾つかの岩峰を目で追って確かめてみた。
東鎌尾根から見た北鎌尾根。