大天井ヒュッテ/大天井岳周辺最新情報
『山小屋便り』 平成19年9月7日掲載

今回の北鎌尾根は、偵察と、今の時期の高山植物のチェックと、ゴミ拾いが目的でした。

この一週間、秋雨前線が弱いながらも影響してハッキリした天気が少なく、オマケに
台風9号が接近してきて北鎌尾根に行く予定を延ばし伸ばしにしていたのですが、台
風の速度も上がらず予定した3日にはガスは多かったものの穏やかな安定した一日と
なってくれました。
今回は、目的の中にゴミ拾い(忘れ物)があったため日帰り山行はやめて槍ヶ岳山荘
に一泊の予定でヒュッテはお客さんを見送った後の6時半に出発しました。

北鎌沢出合いに着いた7時40分頃までは槍ヶ岳の穂先も見えていたのですが、その
後ガスに覆われた尾根歩きとなりましたが、かんかん照りの暑さはなく時折ガスも取
れて遠望も出来、まずまずの天気となってくれました。

偵察報告
貧乏沢・・・特別変わった事はありません。浮石や倒木の足元に注意必要です。

天上沢途中〜北鎌沢出合い50m間は水は地下を流れ涸れています。

水場・・・右俣2,200mまでは少量ながら湧き出ている場所が数箇所あり。但し
今後涸れてしまう可能性があります。出来るだけ早めに水は確保しておきましょう。


北鎌沢のコル〜独標ピーク・・・特別変わった事はありません。今回独標トラバース
にてモデルになって頂いた法政大学山岳会の皆さん有難う御座いました。(いつも私
が行く頃は滅多に他のパーティーと会いませんので、
モデルの居ない写真ばかりだったため、ありがたかったです)

独標〜P14・・・特別変わった事はありません

P14〜北鎌平・・・毎回偵察報告の際尾根上ルートを進めてきたためか、トラバー
スルートの踏み跡が随分少なくなり、今までなかった尾根上に踏み跡が増えていました。
皆が尾根上を辿れば迷う事は少なくなるだろうし踏み跡も鮮明になり、トラバース
ルートでの落石を受ける危険も回避出きるのでは。

北鎌平〜槍ヶ岳・・・特別変わった事はありません

北鎌尾根のルートに関しては、今までにも何度かお伝えしていますが皆さん情報収集
しすぎて頭でっかちになり過ぎないように。
お勧めは今年5月に「山と渓谷」社で発売したアドバンス山岳ガイド「槍ヶ岳・北鎌
尾根」のDVD(¥5400)がいいと思いますよ(私も出演してます)。

高山植物編とゴミ拾い編は次回更新します。


大天井ヒュッテ 小池

ヒュッテを6時半出発、
貧乏沢入口手前で最初に槍ヶ岳が見える場所ではこんなに晴れていたのですが。

貧乏沢を下り出してガラ場付近から見られる風景。
手前の尾根が北鎌尾根P1。真ん中の大きなピークは硫黄岳。
その奥に鷲羽岳、右の高い山が水晶岳です。

天上沢と北鎌沢出合の対岸から槍ヶ岳の山頂が確認できる。

正面の沢が北鎌沢右俣。左側の大きな石のある沢筋から入り込む。
7時40分には既に2千m上にはガスが立ち込めていた。

水の補給は左俣と右俣の合流点で汲んでおこう。
今回、右俣2,200m付近まで水は確認出来たが水量は少なめ、早めに確保しておこう。

天狗の腰掛を越えて独標が現れた所でガスが切れ出してくれた。
先行する3人パーティーがトラバースルートの核心部を攀じていた。
ガスのかかっている所に居る3人解かりますか?

独標基部から3人がはっきり確認出来ます。

核心部後のトラバース。下は垂直に切れ落ちているため、
スタンスや手がかりはしっかりしているのですが慎重に対処しましょう。

岩登りの経験が無いと一番苦労すると思われる3mのチムニークラック。
トラバースの中間点。

クラックの上のスラブ状の岩場をそのまま左上に直登し草付を登れば独標のピークに辿り着きます。
二人の居る場所がクラックを抜けたところ。
法政大学山岳部の3名、写真のモデル有難う御座いました。

北鎌尾根からは、天気が良ければ大天井岳が北東方面に見えます。
その手前同じような三角形の白く輝いている峰がいつもご紹介している牛首展望台です。
大天井岳の前鋭鋒といった感じに見えます。結構立派でしょう。

北鎌平上にて北鎌尾根に入って始めてガスが切れて槍ヶ岳の穂先が現れました。
午後12時30分でした。