『山小屋便り』 平成18年10月10日掲載 | |
悪天を耐えたあとは、帳消しにしてくれるご褒美が待っているものです。 夕方、空には格好の巻積雲が運動し始めこれは焼けてくれるかな?と・・・ 大天井ヒュッテは稜線上にはあるのですが、東側には大天井岳、西には牛首展望台の 大きな壁があり日の出も日の入りも丁度見えない場所に建っているため、こんな時に は予測して展望台に登るか大天井岳側に登るかしないと素晴らしい夕焼けは拝めない のです。しかもどちらに行くにも15分はかかるのです。 そのため、ヒュッテにて夕焼けを確認してからでは見える場所に行ったら終わってし まっている訳です。これが、槍ヶ岳山荘や南岳小屋だったら小屋の窓にて確認してか らでも充分間に合うのですが。 そんな訳でいい夕焼けを見逃してしまったり、行っては見たものの全く焼けなかった りとなかなか厄介なんですが、9日のそれは大当たりでした。 その空と雲の状況から、丁度お客様に夕食を出す時間とかち合うためスタッフにお願 いして、大天井側の鋸刃岩まで登ってみる事にしました。 それは、約20分間の壮大なショーでした。ゆっくりと沈んでいく太陽とみるみる形 を変える雲たちの、光と反射と影との競演でした。 撮った写真全てをお見せしたいのですが、選りすぐってお届けしましょう。 大天井ヒュッテ 小池 |
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PM5時6分。なんとも美しい巻積雲の中に太陽が入り、 北鎌尾根の向こうには西鎌尾根から樅沢岳〜双六岳の稜線に滝雲が流れていました。 | |
大天井岳西斜面と穂高岳。鋸刃岩にて | |
夕日に紅く染まる鋸刃岩。 | |
左俣岳に沈む夕日。PM5時24分。 | |
日没後、更に紅く染まる | |
北鎌尾根の岩稜がくっきりと浮かび上がりました。 | |
独標の上空の燃える炎のような雲 | |
そして静かに消えていきました。PM5時29分 | |