『山小屋便り』 平成18年10月10日掲載 | |
台風並みに発達した低気圧は、海でも山でも大きな事故をもたらして尚発達していま す。 こんな天気になるときっと遭難騒ぎが、と思っていたら案の定奥穂高岳と白馬岳にて 救助要請が。この天気ではヘリの活動は制限させられるし、地上からの救助も二重遭 難の恐れがあるためままならないし、天気回復を待ってでしか救助は出来ないため、 何とか頑張って・・・と思うのですが、 ヒュッテにも、7日冷たい雨と強風の中明日の天気を信じて辿り着いた登山者も多 く、午後からは霙から雪へと変わって天気予報も最悪な状況になってきました。8日 の朝には雪が積もり、強風と吹雪の状況は相変わらずで、中房に引き返す登山者と ヒュッテに連泊する登山者とそれぞれでした。 皆さんは10月の北アルプスってどのように考えているのでしょうか?昨年などは暖 かな連休を終え小屋閉めまで雪を見なくて下りましたが、こんな時の秋山を体験して しまうとこれが10月の山なんだ、って錯覚してしまうかも知れませんが、 例年の10月の山は、毎朝氷点下になり天気が悪化すれば雨ではなく雪になるのは通 常の事なんですよ。つまり秋ではなく既に冬になってしまうと言う事なんです。 ここ大天井ヒュッテの2,650mの場所でもそうなのですから3,000mを越え る槍ヶ岳や穂高に向かうとしたら、それなりの心構えと装備や食料等万全にて出かけ て欲しいのですが、あまりにも軽装備の登山者が多すぎます。 「アイゼンは要りますか?」という問い合わせが大変多いのですが、今の時期の北ア ルプスは初冬、雪が降るんだと言う事を前提に装備を携行する事が必要で、持ってい なかったら困る訳で持っていて困る事は無いはずですから、使うか使わないかは山に 来て見なくては解からないはずです。 昨日のお客様の中にも、アイゼン、ピッケルは無く、手袋は軍手。冷たい雨にぬれ強 風にさらされて指の感覚をなくして辿り着いた人、雨具は上だけズボンは持っていな い人、等々一歩間違えば大変な事態に陥りますよ。いつも書きますように、装備は万 全にて登山しましょう。 大天井ヒュッテ 小池 |
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10月8日朝。昨日から降り出した雪は強風と共に夕方まで降り続きました。 | |
ダケカンバの枯れ枝には氷の花が咲きました。 | |
風力発電機も凍り付いてツララも風にあおられてご覧のような状態でした。 | |
午後3時過ぎ一瞬青空が覗きましたが風はまだ強いままでした。 | |
ヒュッテに沈殿して退屈な思いをしていたお客さん、 一瞬のガスの切れ間に初雪の雪だるまを作ってご満悦。 | |