『山小屋便り』 平成18年 8月 3日掲載 | |
抜けるような青空の朝を迎えました。澄んだ空気は穂高連峰から中央アルプスまで鮮 明な山並を浮かび上がらせてくれました。それでも気温の上昇とともに昼頃からガス が湧き出し、午後からは遠望はきかなくなりました。 今シーズン初めての、二の俣谷の水場からの水揚げに行って来ました。 今年は7月の長雨のお陰で、今まで天水で水が豊富にあったため例年よりも1ヶ月遅 い水揚げとなりました。 ヒュッテでは飲料水の確保に沢の水をポンプアップして使っておりますが、ヒュッテ から二の俣谷へ約500m下降した地点から水を揚げています。パイプの長さにする とおよそ2千mくらいあるのでしょうか、その途中にパイプのつなぎ目があるのです が、冬の雪の重さに備えるため、秋の撤収時に幾つかに切り離しておくので最初の水 揚げではその切り離したジョイントをつなぎ合わせていく作業から始まります。 水場には石積みしたポンプ小屋があって、そのエンジンとポンプのメンテナンスをし てからパイプとポンプを繋ぎ合わせ、沢の水場から一旦大きな水槽に水を誘導させ、 その水槽からポンプを通してヒュッテまで水揚げを行うのです。このエンジンとポン プが起動してくれるかが気がかりなのです。昨シーズンから約9ヶ月ぶりに動かすの ですから。次にはその水がヒュッテまで辿り着いてくれるかがまた気がかりなんです ね。ポンプは調子よく動いてるのにヒュッテに水が上がらないってのが困っちゃうん ですね。今回は雪が多かったためその重さなどでパイプのつなぎ目が外れていたりパ イプに傷が入っていたりと何ヶ所も切れていてそのパイプを繋ぐのに大変苦労しまし た。水を出しながらの作業は本当に厄介なんですよ、パンツまでびしょ濡れになって しまいました。 そしてこの二の俣谷は熊さんの生活拠点があるんですね、水場までの間に2ヶ所の大 きな新しい糞がありました。でも、ご安心くださいこの辺の熊さんは里に出没する熊 と違って、人間を見かけると逃げていってくれますから。 流石に標高差500mですね、亜高山帯に多く見られる花が咲いていましたよ。稜線 ではまず見られないですね。 大天井ヒュッテ 小池 |
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北穂高岳と大キレット、右のピークは滝谷ドーム。ヒュッテの庭からの写真です。 | |
屏風の頭から前穂高岳北尾根。ヒュッテの庭からの写真です。 | |
シロバナノクモマニガナ(水場への途中にて) | |
ママコナ(水場への道沿いに群生している) | |