『山小屋便り』 平成17年 7月14日掲載 | |
独標からのルートは尾根上に取るのですが、幾つものピークを直登したり巻いたりと 自分でルートを探しながら、まだ通った事のないルートを辿ってみたりと、北鎌尾根 でなくては出来ない登山を楽しみながらの登行は本当に楽しいものです。但し浮石の 多いこの尾根ではそれなりの細心の注意が必要で、手がかりにした岩が力を入れたと たんすっぽ抜けたり、大丈夫と思って乗る前に蹴ってみたら足場がボロッと崩れたり と、特に何パーティーも入っていたり大人数のパーティーだったり、下に人が居る場 合には要注意ですね。 独標に着いた頃から槍ヶ岳には飛騨側から沸いて来るガスに包まれてしまったり取れ たりという状況でしたが、山頂に着いた時にはガスに覆われたまま暫くシャッター チャンスをうかがっていたのですが空腹に負けて槍ヶ岳山荘に下りました。 よく、「北鎌尾根を登るのに何時間かかりますか?」と言う質問を頂きますが、この 質問には絶対に答えられません。何故なら質問者の力量が全く解からないからです。 一般登山道においては「コースタイムは・・・時間ですから今までの自分の歩くタイ ムと比較して御判断して下さい。」と言うお答えが出来るのですが、北鎌尾根のよう なバリエーションルートでは只歩くだけでなく、岩登りの技術、ルーファイディング の技術によって大きく異なるからです。 ヒュッテから5,6時間もあれば登ってしまう人も居ますし、2ビバークもして登る 人も居ます。 もちろん天候等の影響もありますが、まずは体力を付ける事をお勧めします。 大天井ヒュッテ 小池 |
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すぐ右が独標の頂点です。独標も登ってみればご覧のような草地があって何処か ヨーロッパの風景に似ていますね。 | |
北鎌と槍ヶ岳。尾根には大小幾つものピークがあり直登したり巻いたりと何度も 繰り返しながら進む。踏み後も幾つかありどこを選んで登るのも自由ですが、 落石には注意が必要です。特にパーティーの多い場合は気を付けましょう。 | |
槍ヶ岳の手前のピークが北鎌平。平といっても大きな岩が幾つにも重なったような所です。 この辺りは千丈沢側のトラバースが主流ですが私は殆ど稜線上を登ります。 但し浮石や落石には充分な注意が必要です。 | |
振り返っての独標と大天井岳〜燕岳の表銀座の縦走路と左のピークは餓鬼岳。 | |
北鎌平からの槍ヶ岳。流石に迫力満点ですね。 | |
北鎌平から振り返った北鎌尾根。 | |
ラスト百mの頂上までの登り。 | |
頂上直下の岩場にイワウメが花を付けていました。こんな所にも咲く植物の生命力って凄いですね。 | |
頂上直下にある最後のチムニー。ルートは何処を登ってもいいのですが私は右の スラブを登るのが手がかりも足場もしっかりしているのと高度感を感じながら攀じるのが好きです。 残念ながら頂上に着いた時にはガスってしまい頂上からの360度の展望は見られませんでした。 | |