『山小屋便り』 平成16年7月15日掲載 | |
7月14日。北鎌の状況を見に日帰りで行ってきました。その時の状態をご報告い たします。 今年は雪融けが早く北鎌も例外ではなく貧乏沢も北鎌沢も雪はほとんどありませ ん。(左俣に入れば雪渓が残っています。)それだけに浮石が多く特に貧乏沢の下り は気を付けて歩いて下さい。過去にも自分で落とした落石によって足を骨折してし まった人がいます。それと北鎌尾根も落石の宝庫となっています。多人数のパー ティー、沢山のパーティーが続いて登攀しようとすると心配です。 最初の写真は貧乏沢を300mほど下った支流からの滝です。例年ですと今の時期 は雪渓に覆われている所です。ここまでの下りが浮石とても多いので気を付けてくだ さい。 |
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貧乏沢支流との出合い | |
天上沢から北鎌沢の入り口です。対岸から撮った写真です。真っ直ぐに伸びている沢 が右俣で必ずこの沢を詰めて下さい。残雪の多いときは左俣に入った方が早いのです が今年は危険です。 |
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北鎌沢の入り口正面が右俣 | |
北鎌沢の出合から約200m程登ると沢が二つに分かれます。通常右俣の方にルート を取るのですが、水量の多さと幅の広さに惑わされて左俣に入ってしまう人達がいま す。右俣は狭く水も涸れているため見落としてしまうのかも知れません。充分注意し て行って下さい。 |
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左俣と右俣の分岐 | |
北鎌沢を沢筋に忠実に遡行していくと古い残置ザイルが出てきます。このザイルは支 点も見えず磨耗も激しいので使わないほうが良いでしょう。この時期はこの辺りまで (2200m)水が出ていますが、日に日に下方修正されますので水があるうちに補 給することをお勧めします。 |
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残置ザイルあり約2200m | |
暫く行くと沢が二つに分かれますこの分岐は右の沢にルートを取ります。少し登ると 又二つに分かれますがどちらに入っても約20m位登ったところで二つの沢を分けて いる岩稜(といっても小さなもの)にルートを取れば北鎌沢のコルはもう直ぐです。 |
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コルまで残100m右に入る | |
今年はコバイケソウの花が当たり年です。(3,4年毎の周期で咲く)この上が北鎌 沢のコルです。 |
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すぐ上が北鎌沢のコル | |
昨年は「ウーちゃんの北鎌日記」で有名になったウーちゃんをパートナーにして行っ たのですが、今年はパートナーが見つからず単独で入りました。ところが、北鎌沢の 1900m付近から先行するお猿さんが一匹いてなんと独標の取り付きまで同行して くれました。カメラを向けるとスッといってしまうのでなかなか写真が撮れずに、こ の写真が唯一彼を(彼女かな)捕らえた一枚です。 |
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今回のパートナー?です | |
急なハイ松帯を抜けると圧倒的な迫力で独標が(写真左奥)見えてきます。 |
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天狗の腰掛と独標 | |
天狗の腰掛。イワギキョウのつぼみと独標 |
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天狗の腰掛から独標 | |
天狗の腰掛から2,3岩峰を乗越すと独標のトラバースルートが見えてきます。いつ 見ても圧巻です。 |
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独標 | |
北鎌尾根で一番目に付く花といったらやはり「ミヤマオダマキ」です。この独標の基 部から北鎌平までいたる所で目を楽しませてくれます。今回、北鎌尾根に咲いている 高山植物を写真に収めてきましたので別のページで編集したいと思っています。 |
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独標トラバースルートにて | |
今回はトラバースの途中から左斜めに独標のピーク目指してルートを取ってみまし た。北鎌尾根の楽しいところは自分でルートを探し出して登れるところにあります。 ペンキマークに導かれるなんて嫌ですよね。 |
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独標ピークへぬける | |
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独標から常念岳と手前表銀座赤岩岳西岳 | |
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独標から大天井岳望む | |
独標ピークからの北鎌尾根です。ここからはガスに巻かれるとルートファイディング が一層難しくなります。くれぐれも慎重に。 |
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独標からの北鎌尾根 | |
この写真を撮った後、槍ヶ岳と北鎌尾根は風とガスに巻かれてしまい写真は撮れませ んでした。 今回は、忠実に尾根上にルートを取りました。昨年消せなかった北鎌平を巻くトラ バースからのペンキマークは薄くはなっていますが皆さんにお伝えしたとおり尾根か ら一番遠い一番下のトラバースルートへと導かれています。 やはりお勧めは尾根を辿るルートです。(ペンキマークはありません。但し落石には 充分注意して下さい。下部のトラバースを歩いている登山者に直撃する危険性があり ます。) 今年も沢山の登山者が北鎌を目指して登ってくると思われますが体力、技術、経験を しっかり積んでトライしてください。楽しい登山を祈っております。 大天井ヒュッテ 小池 |
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p13辺りからの槍ヶ岳 | |