『山小屋便り』 平成15年7月18日掲載 | |
昨年9月10日頃に、ある登山者の身勝手な行動で北鎌がペンキとテープで汚され た最悪の状態になっていました。テープについては昨年のうちに取り除きましたがペ ンキにつきましては今まで手付かずの状態でした。そこでシーズンが始まる前に何と かしなければと7月16日一人で溶剤とタワシ、それに石屋石刀を持って北鎌に向か いました。ところが溶剤は沢山使っても赤ペンキが大きく広がるだけできれいに落ち ません(写真1枚目)。石刀での削りは綺麗にとれるところと2枚目の写真のように 残ってしまうところがあります。でも、この方法でやらざるを得ませんでした。石刀 での作業は一箇所につき10分以上はかかり握力はなくなり腕は上がらなくなり飛び 弾けた石粒が容赦なく目に飛び本当に苦痛の作業でした。そしてその数なんと200 箇所以上、そのうち独標トラバースから北鎌平手前までのそのマークを辿るとわざわ ざ落石の多い危険な所へと導かれていくマーキングを中心に削り取りました。そこま では昨年までの北鎌に90%は戻りました。しかしすべてのマークを削ることが出来 ず、上部は未だに残っています。そのマークを辿るとルートの中でも稜線から一番遠 い一番長いトラバースへと導かれています。特に危険な所へ行くものはないのでその ままの状態になっています。又、頂上直下200メートルは3メートルおきくらいに 夥しい数のマークがあり(写真4枚目)、山登りの体力、技術、ルートファイディン グすべてを求められる最大の魅力を持つこの尾根を目指して挑戦する登山者の、憧れ の北鎌でこのマーキングを見たらがっかりするのが目に浮かびますが、今この時期私 の力ではここまでです。5枚目と6枚目はチムニーと書かれたペンキを削る前と殆ど 削り終えた写真です。 今度の作業を終えて、この人物はこんな 事を他のルートでもいまだにやっているのかと思うと本当に腹だたしく怒りが込み上 げてきます。このようなやってはならない行為をどうしても食い止めたいと思うので す。どうか皆さんの力で何とかならないものでしょうか。
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