南岳小屋・管理人の日本最高所のオンライン日記


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2001年7月21日(土)〜31日(火)

日付 今日の出来事
7/21 昨日、今日とお客様が増えると「ホームページ見てますよ」とか「日記読んでますよ」、「あなたが書いてるんですか?」などの声をよく聞きます。 まったく、こんな小さな小屋の個人的な自己満足でやっているページなのにありがたい限りです、ありがとうございます。 それはそうと、今日も賑わいました。この小屋の宿泊者も100名を越え、昼過ぎに双眼鏡で槍が岳を覗くと小屋の前から山頂までビッシリと人が繋がっているのが見えました。まだこの光景を目の前で見たことはないんですよね。写真や 南岳から遠望することはあっても。並んでいる方には申し訳ないのですが、一度目の前でホンモノを見たいものです。 では、明日は3時半起きなのでこのあたりで・・・。
7/22 ようやく南岳小屋らしい日常が戻ってきました。(といっても忙しかったのは二日だけですが) 昨夜の片付けを終わらし、10時のお茶の時間には小屋前に新設した笠ケ岳テラスで乾杯、そのあとは午前中は干している布団の上で昼寝をさせていただきました。 客足のほうもこれからの平日は30名前後と快適に過ごしてもらえる数で推移しそうだし。
7/23 そういえば連休中に大キレットで事故がありその方は死亡されたそうです。現場は長谷川ピーク付近で、私は小屋の仕事でテンテコマイのさなかだったので知らぬ間に北穂小屋か警察かによってヘリで搬出されたそうですが、お父さんと高校生の息子さんの二人ずれでお父さんが事故に遭われたそうです。 どういう経緯かはわかりませんが大キレットというのはひとたび不注意でバランスを崩せばそれこそ奈落の底へというようなところの連続です。それゆえ通常は皆さん緊張感を持って登降するので比較的事故の少ないところですが、それでも数年に一度は不幸の起きてしまうところです。落ちた人はそれで終わりですからいいかもしれませんが、救助に携わる人は自らを危険にさらしての活動でありますし、 残された家族、とりわけ今回は現場に一緒にいた息子さんのことを考えるとかわいそうでなりません。みなさんもくれぐれも安全登山を心がけてくださいね。
7/24 先日のラジオの電話出演に続き、今日はTVに電話出演です。地元民報(SBCテレビ)の「おはようチャット」という番組で、県内のいろいろな団体やサークル、ショップなどをHPで紹介しながら電話でも話しを聞くという形式の番組でした。 最初は槍岳山荘に話しがきたのですが、HPなら南岳の方がコンテンツも多いしということで弊社の社長がうちに話しを移してくれたということで、忙しい中ですがマメにがんばってればいいこともあるもんです。ほとんど私の個人的趣味で始めたコンテンツも多いんですけどね。 そうそう、最近はお客様からもたくさんのメールをいただき、励みになります。ありがとうございます。メールで返信をだしていますが重ねて御礼申しあげます。 ついでに下界の皆様には暑中お見舞いも申しあげます。ここは最近は15度前後と大変快適な日々でございます。(短い夏ですが・・・)
7/25 おとといの遭難事故に関しては残された遺族のことを考えると・・・と書いたけど、皆さんは本人はどう感じてると思いますか? 実は数年前ですが私も近くで滑落しまして、客観的に見て絶対に死ぬであろう状況にも関わらず手首関節内の粉砕骨折のみと一月半の入院で済んだ経験があります。その落ちている10数秒は「ああ、これは絶対死ぬな。」と過去に見てきた遭難事故と照らして思ってたわけですが、その時に考えてたことは「ああ、ブンちゃん(小屋の留守番をお願いしてた同僚)に迷惑をかけるなあ・・・、社長は怒るだろうなあ・・・、」とか 意外にあっさりしていたものだったのであります。そういう経験を元に結論! 死んじゃうあんたはいいけど、残されたものは大変だよ。 だから気をつけて山に来て下さいね。
7/26 今日は登山道のゴミの話。 南岳小屋では朝の小屋内の掃除の後に天気がよければ小屋周辺(南岳山頂〜獅子鼻〜キャンプ場)のゴミ拾いをやってます。さすがにあからさまな投棄は見られませんが、タバコの吸殻とか飴の包み紙やポケットから落ちたようなちょっとしたゴミはありますね。 で、問題なのは小屋の近くじゃない登山道のゴミです。今日、所要で中岳まで行っていたのですがやはり登山道上のちょっとしたゴミが目立ちました。 シーズンに1〜2度は環境省の委託をうけたグリーンパトロールなるものが清掃活動をしてくれているので長年放置されているようなゴミはありませんがやはりちょっとしたゴミは目に付きます。 「じゃあ、お前が拾ってくればいいじゃないか」と言われそうですが、用事があるとなかなかゴミを拾いながら歩くってのはできないんですよね。 それよりも皆さん、ゴミを出さないようにお願いします。
7/27 さて、再び週末が巡りこの小屋もだいぶ賑わいが戻ってきました。この夏は20日以降ずっといい天気が続いてて登山者にはうれしい限りだと思います。 もちろん小屋の人間も晴れているほうがいいですよね。小屋の中もカラッとするし、布団も干せるし、休憩時間も小屋の周りを散歩できるし。ただこのまま好天が続けば問題になるのは水です。南岳小屋の場合は全て天水に頼っていて、貯水量は25トンほどあるので一ヶ月は雨が降らなくてもまかなえる計算ではありますが、 半月以上も全く雨が降らなければ通過客への水の販売や手洗い用の水の供給を止めざるをえなくなります。 天気がよくてたまに夕立があるような天気が一番いいんですけどね。でもこれは街でも同じことですね。関東地方なんかもそろそろ水不足が気になりはじめているのではないでしょうか。
7/28 今日はこの小屋に北穂高小屋の小山義治さんが来られました。御歳82歳だそうです。滝谷を登る登山者のために北穂高の山頂に材木を担ぎ上げて小屋を建てたという話はもちろん、油絵でも有名な方です。この秋の展覧会へ向けてぜひ南岳からの 北穂を描きたいと一人で登って来られました。ほとんど90度近く曲がった腰で天狗原からの道を登ってきたのだから「時間をかければなんとかなる」とはいえ驚きです。でも普段は北穂の南稜を昇り降りされてるわけですから、それに比べればまだ楽なのかも。残念ながら今日は午後からずっとガスで絵はかけなかったのですが明日の朝はぜひとも晴れて欲しいものです。
7/29 ああ、そろそろ疲れがたまってきました。過去の日記を読んでもらえばわかりますが、前回7月10日に休みを取って以来もう二十日ちかくずっと仕事です。っていうか、この先もあと1ヶ月休み無しで仕事です。次の休みは8月27日からですから。 まあ、それは毎年のことでなれっこなんですが、最盛期も始まって約十日、疲れてくる頃なんでしょうか?昨日は「水がなくなった!」(ウチの小屋では宿泊客にペットボトルのミネラルウォーターを一本差し上げてます)と騒ぐ客がいて、またその客がベロベロニ酔っ払ってるものだから「対酔っ払い方式」で対応したら今度は「客全員を調べろ!!」とか言うし・・・。 もういい加減にしてよ!って感じです。あとひとつ私のストレスの原因もあるのですが、それは関係者のみ知る・・・ということで、機会があれば紹介しましょう。
7/30 今日、地元岐阜県上宝村栃尾中学の先生が10名ほど南岳に来られました。8月下旬に行われる全校登山の下見だそうです。栃尾中学では毎年、槍・笠・双六の地元の名山を順番に登山を行い、卒業までの3年間でその三山を登るそうです。本番は飛騨沢〜槍ヶ岳の往復ですが、天候も良いしということで南岳までまわって来たそうです。 最近は学校登山というのも下火で、槍ヶ岳に来る学校は東京・愛知の3校になりました。長野県でも昔は燕や常念、爺が岳などに登る学校が多かったのですが最近は乗鞍や美ヶ原、飯綱山など日帰りで行ける山が増えてきているそうです。ちなみに大阪出身の私は中学の修学旅行で戸隠の飯綱山に登りました、これが長野県デビューだったわけです。
7/31 今日で7月も終わりです。今月は20日以降に好天が続いたおかげで7月だけで見ればこれまでで最高の客入りとなりました、ありがとうございます。しかし今年は雨が少ないですね。ここの今月の降水量は約120mm(気象情報の記録上では185mmとなりますが、1日の63mmは6/30の午後に降ったものなので。なぜこういうことを書くかというと HPをご覧のかたで毎日この記録をノートに取ってる方がいるそうなので・・・)、昨年の254mm・一昨年の212mmに比べるとおよそ半分です。先日は南岳小屋の水事情を書きましたが、うちの場合はまだ貯水量に余裕がありますが、槍ヶ岳山荘なんかはそろそろ台風のひとつでも来ないかなあ・・・と言ったところだそうです。槍の場合は大喰岳直下の雪渓からポンプアップも出来るのですが今年は稜線付近の残雪が少なかったので その雪渓もあてにならないそうなのです。さて、8月はどうなるのでしょうか。


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