南 岳 新 道 
(槍平→南岳)
(所要:登り4時間/下り2時間半)

※イラストマップはこちら⇒
 (準備中)
槍平小屋(標高2000m)
コース上には水場は無いのでここでしっかり水分補給を。
小屋の玄関を背にして、左手の10時の方角に見える山がこれから登る南岳新道のある山。
その迫ってくるような山肌の圧力に目をまわさないように…          
槍平小屋を出て小さな沢をすぐに横切る。
ここは夏の初めにはキヌガサソウなどの咲く気持ちの良いところです。
南沢の大きな河原を渡る。
ここは残雪期はもちろん、雪が消えてからも道を間違える人の多いところです。
ペンキ印や旗竿をしっかりと確認しながら沢を横断してください。
目印を見落として、横断箇所を間違いそのまま沢沿いに上ると旧道に行ってしまいます。
初めのうちは普通に歩けますが、その後突然山がなくなります。(98年の地震で山肌が崩壊)
それ以上は絶対に進めませんので元に戻るしかありません。
 (但し、通常の注意力を払っていれば間違えることはないはずです)
画像準備中
南沢を横断したあとは樹林帯の中の急坂をただひたすら登るだけです。
木の階段やアルミはしごでドンドンと高度をかせぎます。
苦しい道ですが、槍平小屋があっと言うまに眼下に遠ざかります。
対岸の奥丸山(2440m)で自分の位置がどんどんと高くなってきていることを
感じながら登れば少しは気も紛れることでしょう。
槍平小屋からひたすら登ること2時間でこの鉄はしごに到着。
ここで標高2500m、つまりコースの中間点になります。
このはしごを上って少し行くとこれまでの山腹を登っていたコースが尾根道へと変わります。
眼下には右俣谷の流れ、そして左手には滝谷の威容が見えてきます。
ここからが南岳新道のハイライトです。
画像準備中
尾根道へ出てもなおも急な坂が続きますが、これまでとは景色が変わって
苦しいながらも楽しい道です。
コバイケイソウやニッコウキスゲなどの高山植物も咲き誇り、
振り返ると笠ヶ岳も見えるようになります。
しばらく登ると救急箱が設置されています。
これは槍平小屋が好意で設置しているものです。
感謝しながらもお世話にはならないように気をつけましょう。
ここで標高2600m、南岳西尾根のコルと呼ばれるところです。
ここもシナノキンバイなどのお花がたくさん咲くところですが、決してお花畑の
中には立ち入らないでくださいね。
さて、ここで上を見上げるとさらに覆いかぶさるような岩肌に続く道が見えますが
ここを乗り切ればグンと楽になります。
泣かないで元気を出して登りましょう。
救急箱から泣きたくなるような急な道を登ること約10分。
こんな看板が出てきます。〜下りの方へ。これからムチャクチャ急な下りの
はじまりです…〜
つまりここでムチャクチャ急な登りは終わりということです。
ここからしばらくは平坦な尾根上を稜線漫歩、「辛かったけど来てよかった!」
と必ず思ってもらえるところです。
さて、この登山道を下りに利用される方はここに書いてある通りに「あわてずに
ゆっくり」下りてください。
滑落して大怪我をするようなところではありませんが、滑ってシリモチもつく人は
相当多いようです。
穂高の岩壁を見ながらの快適な稜線歩き。
後半はハイマツを保護するための木道が敷設
されています。(←)
その後は稜線を外れて、鉄はしごを下って南沢
カールの中へと進んで行きます。(→)
右の写真で見えている稜線が南岳。
ここまでくればあともう少しです。
夏の初め頃まで残る雪渓を
トラバースすると雷鳥の住む
お花畑を横切る。(←)
道標を過ぎると今度はカール
の斜面をジグザグに登っていく。
 (→)
見上げていた南沢カールの斜面もあっという間に登り詰めて、カール上端の
岩盤帯にかかる丸木橋を渡る。
このあたりは目で感じるよりはずっと楽に登れます。
ここで標高2850m、小屋まではあと20分ほどです。
丸木橋を過ぎたらあとは南岳のなだらかな斜面をジグザグに
登るだけ。
道はきつくはないけども、疲れも溜まってきたし、
空気も薄くなってきてちょっと疲れちゃうかもしれません。
左手の中岳の向こうに槍の穂先が見えてきたら南岳小屋は
もうすぐです。

おつかれさまでした。

編集後記

キツイ・きついと書きまくりましたが、実際にかなりきつい道です。
でもそれは山が高いんだから仕方がありません。
私がよく言う言葉ですが、「3000mの山に登るのに易しい道なんてありません!」
延々とダラダラ続く沢筋の道を登るか、この道のように一気に登り詰めてしまうかのどちらかです。
そういう意味では私はこういう道は気持ちが良くて好きです。
ただし、テントなどの重い荷物を担いでここを登るのは本当にきつすぎるかもしれませんね。
なお、こういう道は下りに使うよりも登りに使ってゆっくりと景色を楽しみながら登ってくるのがお薦めと
ある山岳雑誌の夏の増刊号にも書いてありました。

ずばりここは槍平に泊まって、朝の澄んだ大気の中で絶景を味わいながら登るのがお薦めです。
そうなると南岳には午前10時頃には着いてしまうから、小屋には泊まってもらえずに槍まで足を
伸ばす人が多くなるかもしれませんが、それは仕方がありませんね。
ちょっと残念ですが、この道を歩いて感動してもらえるならそれに越したことはありませんから。
本当は南岳でノンビリと穂高や常念・槍を眺めながらゆったりとした時間を過ごしてもらえると最高なんですけど、
人にはそれぞれ都合ってものがありますからね。