9月25日(木)

ご覧の方も多いかもしれません、今年から始めている槍ヶ岳の予報。

実はこれを担当している予報士は私の友達でして、
予報をいただく代わりに毎日の天気状況をフィードバックしています。

そして昨日、「なかなか思い切った予報を出したなあ」とメールを送ると、
「遭難を防ぎたいからね、毎年このパターンで遭難あるから」と返信が。

確かに、ただ今回はド平日なのがラッキーかもしれません。
もし仮にこれが一昨年のように連休と重なると
どんなに警告を発しても間違いなく大量遭難の発生です。


さて、今朝はまだ風速15m程度で曇り空でしたが時間を追うごとに状況はひどくなり、
午前10時以降は瞬間的には30mを超える暴風が吹き荒れています。

小屋としても台風並みの警戒をしているとともに、あす以降は吹雪・凍結の恐れが高いので水道が使えなくなる可能性を考慮して小屋内に水のタンクを移設するなどの対策を講じています。

そして「大キレット指数」も初めてレベル5を発動しました。
この状況下で事故を起こして幸いにも一命を取り留めてもそれを救う手だてはありません。
大キレットでは自分で歩けない人は上げるも下げるも不可能だから。


朝のうちはキレットを通過する人もいましたが、さすがに午前10時以降は通る人もまばら。
「ここに泊まろうかなあ…」という人には「土曜日まで停滞&雪の中を下山する覚悟がないなら今すぐ下りるべき」と下山を勧告していますが、我々がここから離れるわけにはいきません。
夕方になると風はさらに強まり40m/s超、エンジンを点けるために外に出ると恐怖を感じるほど。嵐が過ぎ去るまで耐えるのみです。

でも、この初冬の嵐のあとに展開される景色を想像するだけで顔がにやけてしまいます。

すっきりと天気が回復するのはおそらく日曜日。
土曜日はまだ荒天が少し尾を引くでしょうが、それなりの人なら登れるはず。
そんな雪の中を登ってくる技術と装備と覚悟をお持ちの方はぜひ日曜の朝にガッツポーズを決めるべく南岳までお出かけを。
詳しくは「槍が岳の明日の天気」で確認を。

これも一昨年の写真です
猛吹雪となった3連休の最終日の朝

もしこんな天気になったら朝食は7時でいいかなあ?
(通常は6時ですが)