9月4日(木)
通信復活したんで再開です、週明けにはまた何日か休みますけど。

さて槍平小屋のHPでもすでにご存知の通り、南岳新道の集中補修作業が行われています。
地元(岐阜県側)の森林管理署の職員やボランティア、それに槍平・穂高平・南岳のスタッフなど総勢18名での大々的な作業となりました。


ここで南岳新道の歴史について触れておきましょう。
旧・南岳新道は今のように尾根筋を通る道ではなく、谷沿いを通る道でしたが1998年の上高地群発地震の際に途中で大規模な山体崩落があり完全に通行不能となってしまいました。そして翌99年の8月末〜9月にかけて地元の森林組合の職員を中心に20名ほどの人員で約半月かけて現在の道を作り上げました。

それから早くも10年が経過しました。
冬には3mも4mも雪が積もる場所、道が傷むことは元より承知のこと。
特に下部の樹林帯で道の傷みが激しく、その都度槍平小屋のスタッフが作業に従事していましたが、山小屋仕事の合間の作業では追いつかない状態にまで傷んできたので今回の大作業となったわけです。

全員で角材や道具・資材を担いであの急坂を上がりました。
しかも作業初日は途中から激しい雨降り。
それでも数の力は偉大なもんで、予定より早く今日で作業は終了したそうです。
 (私はヘリの荷上げと日程が重なってしまったので、今日の作業はパス)

さて、どんなふうに直されたのか・・・
通ったことのある方はその確認に、
まだ通ったことの無い方は「いったい、どれほどの急な坂道なのか」見に来てください。

トップページの「コース案内」の繰り返しになりますが、本当に急な道です。
そりゃ、無理やり山肌に切り開いた道ですから急なのは重々承知。
晴れた日に南岳山頂から見下ろせば、すぐ足元に1000mの標高差で槍平小屋が見えるわけだから急なのは当然だと理解してもらえると思います。

この道については賛否両論。
何も知らないで通った人のほとんどは「たいへんだった!」、「ひどい、二度と通りたくない」と言います。でも、それなりに事前の勉強をされてある程度の覚悟を持って通った人には割りと良い評価をいただいています。
先月、愛媛県から来られた60代の男性が小屋に着くなり、「いやあ、南岳新道いい道だ!」と喜んで話しかけてきた。そこまで褒めてもらえる道だとは思わないけど、その人にとってはなんだか知らないけど感動したみたいです。ぜひまた来年にでも直した道を見に来てもらいたいものです。


一点だけ申し上げておくと、やはりあの道は登りで使ったほうが印象は良いはずです。
私だって下っていくと、「やっぱり大変だあ〜」と思います。

重ねていいますが、標高差1000m、ひたすら急な坂が続きます。
だけど焦らずにコースタイムの4時間、足の弱い人は5時間かけて登るつもりでゆっくりと歩いてください。前半の樹林帯では樹間に覗く奥丸山(2440m)と背比べをしながら着実に高度を上げている自分を実感し、後半の尾根道では文字通り滝谷の壮大な眺めを楽しみながら登れば今まさに北アルプスの3000m峰へ向かっていると喜びが湧いてくるような道です。

ポイントは焦らずゆっくり、そして荷物は出来るだけ軽めに。