7月3日(木)

今日は朝から雨模様、梅雨らしいお天気に戻りました。
とはいえさほど荒れた天気でもなく、
昨日までの晴天でヘリの荷上げや布団干しの作業も一段落したので
またまたHPの更新のために槍ヶ岳山荘まできております。

ご苦労なことだなと自分でも呆れてしまいますが、
今回の通信不具合の長期化に直面し、
この小屋にとってHPによる情報発信というのが
大きな営業力をもっているということを改めて再認識した次第です。
そう考えたら槍への往復なんて軽いもんです。


最近、原油高騰や温暖化対策、さらにはサミット開催の関係でやたらエコだECOだと騒いでおりますな。ただ、エコって金がかかるんですよね。
車にしてみれば、ハイブリッド車なんて普通の車より100万円も高いし、電球型蛍光灯にしても普通の白熱電球と比べると5倍も高い。
自然エネルギーの利用となるともっと金がかかる。
写真の風力発電機は一基50万円。

問題なのは先月、この発電機の設置作業中にタワーごと倒れてしまってプロペラを破損してしまったこと。怪我はたいしたことなかったのですが・・・
このプロペラのセットだけで20万円もするのです。
明らかに自分のミスによる事故だったんで「給料天引き!?」も覚悟したけど、そういうお咎めもなく昨日のヘリで新しいプロペラが上がってきました。

昨日は風が無かったけど日差しが十分にあったので太陽光発電でしっかりと電気を作ってくれた。今日は雨で日差しがないぶん風がしっかりと発電してくれておりますので軽油を燃料とするディーゼル発電機は運転せずに済んでいます。
さすがに登山シーズンとなってお客さんが来るようになると自然エネルギーだけでまかなうことはできずディーゼル発電機を運転せざるを得ないので、この閑散期に燃料を節約して「プロペラ代20万円」を捻出しなくては!!

話は「エコは金がかかる」に戻ります。
南岳で風力発電機を導入してはや10年。
試行錯誤し、機材の故障や更新ですでに数百万円の出費となっています。

ちなみに槍ヶ岳山荘グループの山小屋では4軒とも太陽光なり風力なり、水力なりを利用して発電しています。また、今回のヘリで槍ヶ岳山荘でソーラーパネルの増設工事を行っており、南岳でも次回(7月中旬)のヘリでパネル増設の工事を予定しています。
いかに軽油の使用量を減らしていけるか、ここ数年しっかりとデータ管理してますので今回のこのパネル増設でどれだけの燃料節約になるか楽しみにしています。
ただ、今回のパネル増設の経費がざっと100万円。
それで節約できる燃料代なんて1シーズンでせいぜい5万円くらいのものです。
「元が取れているか?」といえば・・・、まったく元はとれてません。

以前は「自然エネルギーなんて金の無駄使い」と別の山小屋には笑われたりもしてましたが、今やそういう取り組みが利用者からの評価にも関わってくる時代。
元は取れなくても、利用者からこうした取り組みが評価していただければ幸いです。


北アルプス南部地区で同じように自然エネルギーを利用に積極的なのが穂高岳山荘。
これはもう有名な話ですね。以前に今田さんが「ウチは5月・6月なんてエンジン回さなくても十分やっていけるよ」と大笑いしてました。

この種の問題と取り組みが10年後に周辺山小屋でどのように展開されているかが楽しみです。