天気(午前) | 天気(午後) | 最低気温 | 最高気温 | 雨量(前日18時〜当日18時) |
晴れ | 晴れ | 7.4℃ | 12.1℃ | 13mm |
連休が終わったとたんにお天気はスッキリと回復しました。 知り合いのガイドさん一行がキレット越えへ向かったので新設したハシゴと鎖の取材を兼ねて一緒に出かけてきました。 これには意図がありまして… 「大キレットなんて眺めるだけで十分! 私なんかには絶対行けない!!」 と思っておられる方々への「大キレット/最低鞍部・長谷川ピークへのお誘い」です。 キレットなんて目をつむってても、走って行けるワ! なんて上級者向けのお話ではありません。 その話を始める前に今日の概況をお伝えしておきましょう。 |
![]() 小屋裏のウラシマツツジ |
![]() キレット鞍部からの北穂高岳 |
![]() 本谷の崖錐(がいすい)の草紅葉と屏風岩・常念岳 |
![]() キレット鞍部からの南岳・獅子鼻と草紅葉 |
今日のお天気はスッキリ回復したのですが、午前中は槍穂上空のみやや雲が多めで日差しはやや遮られた感がありました。よって写真もなんだか光不足です。 とりあえずお伝えしたいのは紅葉の状況。 小屋裏のウラシマツツジがようやく真っ赤に色付き始めました。 例年なら8月下旬〜9月上旬には色付くのに今年は遅めです。 下界同様に山も今年は残暑が続いているのです。 それでも季節は確実に進んでいるようで、このようにウラシマツツジは色付き始め、 大キレット周辺の2600m〜2700m付近の斜面では草紅葉が始まっています。 なお、左下の写真では屏風岩手前に北穂池(残雪があるところ)も写っていますが、 このへんの樹木はまだまったく色付いていません。 このへん(北穂池周辺)の標高が2550m程度。 南岳から見える範囲内でもっとも早く紅葉が見られるところで、紅葉の指標としています。 今後はここの写真を例に紅葉の進み具合をお伝えしたいと思っています。 さて、午前中は雲が多かったものの昼前からはスッキリ青空が広がってきました。 今日は終日外で作業をしていたのですが、顔が日焼けしてしまったようで少しほてっています。 それと同時に今日の夕焼けへの期待が高まる良い天気です。 夕方になってもガスも湧くこともなく、ぐずつき気味だったお天気にようやく別れを告げて 南岳も秋本番のシーズンがやってきたようです。 これからの秋本番こそが南岳の本領発揮のシーズン。 手始めに今日の夕焼けの穂高の写真でも載せておきましょう。 |
これからはこういう景色に出会える確率も高くなると思います。 寒さもどんどん厳しくなりますが、見たい人はぜひお出かけを・・・ さて、冒頭の「大キレット/最低鞍部・長谷川ピークへのお誘い」の話です。 確かに事故が多く、怖いイメージの大キレット。 だけども本当に危険で怖いのは長谷川ピークから北穂高岳の間。 南岳からキレット鞍部への下りは「槍ヶ岳への登降」とほぼ同じレベルです。 ということは、小屋に荷物を置いて軽い荷物でキレットへ出かければ楽しいということです。 小屋から鞍部まで往復2時間、長谷川ピークまでは+1時間。 それで「大キレットを越えた!とは言えないまでも「大キレットへ行った」とは胸を張って言えるわけです。 そしてそれを補助するかのように今月はハシゴの架け替えと鎖の新設を行いました。 これでより一層安心して「キレット体験」ができるでしょう。 さすがに今年はこれから季節はどんどんと寒くなっていくので縦走向きではありませんが、 また来年以降の登山計画の一助にしていただければと思います。 槍ヶ岳山荘をゆっくり出発して南岳小屋9時到着、 一休みして荷物を置いて「キレット体験」 あるいは槍沢・槍平を早朝に出発して南岳小屋10時到着、 大休止のあとに「キレット体験」 ただし、夏はガスが湧くのが早いので展望もしっかり味わいたい方は早めの行動がいいかもしれないですね。 一番のお奨めは南岳小屋に連泊して「ノンビリキレット体験」であることは言うまでもありません。 では、その「キレット体験」を図解で説明して参ります。 |
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まず獅子鼻からの下り 滝谷へ向かって急降下の始まりです とはいえ、普通の山肌のジグザグ道です 怖いことは全くないと思います 槍ヶ岳山荘直下の槍沢の最後の 急斜面程度です。 ただ、多少は足場が悪いかもしれません |
しばらく下りると 「難所終了、南岳小屋まで10分」 の表示があります。 つまり、ここからいよいよ難所の始まり |
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最初は断層のために グズグズで滑りやすい悪場の下り 鎖もあるし、自分が歩く分にはさほど 危険な場所ではありませんが落石には注意が必要です 自分が石を落とされてしまうのはもちろん、人に落としてしまわないように慎重に下りてください ここはほんの30m程度の区間です ここを過ぎると夏の初めには ミヤマシオガマなどの高山植物がきれいに咲いています |
次にいよいよ本格的な岩場の下り 獅子鼻の岩峰を背後にグングン下降 このあたりは岩盤もしっかりしているし、高度感を感じない岩場なのでさして問題もないでしょう |
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しばらく下るとクサリ場が始まります このクサリは先日新設されたもの 高度感を感じるけっこうな急斜面で しかも登山靴で磨かれて滑りやすい 岩場だったのでこのクサリはありがたい このへんが「槍の穂先」と同等レベルです |
そしてここが今回の工事の目玉商品 (と自分で思っている) 最初のハシゴへのアプローチ部分に クサリを設置してもらいました。 超狭い岩棚のトラバースがあり、 以前ははっきり言って怖かった。 でもここにクサリを設置したことでかなり安心感が増しました。 今回、こうして「キレット体験」をお奨めするのはこの場所にクサリができたからなのです |
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最初のハシゴは高さ8m 1枚岩に張り付くように設置していて かなりの高度感を感じるはずです 高所恐怖症の人には厳しいかな でも槍の穂先への最後のハシゴと ほど同等レベルと思ってもらえれば 間違いないはずです |
そして二つ目のハシゴ こちらは長さも短めで 岩と岩の間に設置してあるので恐怖感は感じないはずです そしてこのハシゴを下りきればキレットの鞍部の北端に降り立ちます 怖い下りもここまでです |
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振り返れば今おりてきた南岳の南壁 小屋周辺で感じる南岳とは全く別物の 南岳の顔を見ることができます ここから長谷川ピークまでは 普通の岩場の小刻みなアップダウン |
長谷川ピーク・北穂高岳へ向かって歩きます 画面中央やや上のピークが長谷川ピーク 長谷川ピークまで行けば迫り来る滝谷の岩壁を仰ぎ見ることができますが 最後はちょっときつい登りがあるので 「キレット体験」ならどこまで行くかは天気と気分次第 キレット鞍部の適当な場所でお昼ご飯を食べて戻るのもいいでしょう なお、長谷川ピーク自体はたいへん狭いピークなので休憩には適しません また、長谷川ピークを越えるとすぐに滑落の危険が高い難所が始まります。 「体験」は長谷川ピークまでにして、 そこから先は「体験」の人は遠慮しましょう あとはゆっくりと往路を戻ってください |
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繰り返しますが、これは「キレット怖い」人向けの案内です。 キレットなんて平気な人はどんどん勝手に行ってください。 キレットは怖いけど、槍に登って南岳まで来る人なら 「長谷川ピークまでなら大丈夫だろう」という私の判断での掲載です。 「南岳までは何度も来て、いつもキレットを眺めるだけ」って人に ぜひキレットの一端を体験してもらいたいわけです。 一度行って見ればまた南岳から俯瞰する風景への心象も変わってきますし。 来年はそういう方が増えれば嬉しいですね。 最後に・・・ 撮影に協力いただいたガイドの木戸さん御一行様、ありがとうございました。 無事キレット通過おめでとうございました。 |