5月28日(月)

4度目の南岳作業へ行ってきました。
南岳から見下ろす横尾付近や新穂高温泉〜穂高平周辺は山から見下ろしても新緑がうらやましいくらいに鮮やかな季節です。
一方、山はまだまだ残雪たっぷりです。
2万年前の氷河期に大キレットをえぐりとったこのカールには果たして何mの雪が積もっているんだろう?初夏のこの時期の山はその氷河期を彷彿させる姿を見せてくれるので大好きな時期です。

さて、16日に今シーズン初めて南岳小屋の様子を目にした時はあまりにも雪が多くて目眩がしそうなくらいでしたが、せっせっと地道に雪掘りを行い、加えて先週金曜日の大雨のおかげでだいぶ雪も減り、小屋らしい姿を見せ始めました。
とはいってもまだ一階部分はほとんど雪の下。
その雪の重みのせいで小屋内のドアや扉の大半は開けることができない状態です。
特にトイレは個室5個のうち、開くのは一つだけ。
それでも一個でも使えるだけ助かります。

ただ、雪が多いと助かる作業もありまして・・・
屋根まで積もっている雪のおかげで楽に出来るのが高いところの作業。
雨樋をつけたり、壁に塗料(防腐剤)を塗るのには助かります。

普段なら長いハシゴを伸ばして不安定でけっこう怖い作業も今年の春は一段と楽にできます。

今回、槍ヶ岳山荘から手伝いにきてくれたのは新人の谷原君です。
さて、今月中旬の三日連続の猛吹雪で槍〜南岳の稜線はこれまで見たことが無いくらいのデッカイ雪庇が異常発達しました。危ないなあ…と思っていたのですが、それが先週の大雨で何箇所か崩落したようです。
そして雪庇だけでなく、ベースの雪も巻き込んでかなり大規模な雪崩が出ていました。
幸い、槍沢などメインの登山道に達するほどの雪崩ではなかったのですが、かなりのい破壊力を感じさせる雪崩でした。
季節外れの大雪やその直後の天候の急変時にはこういう危険性もあることをご承知ください。

大喰岳頂上から東面カールにかけて

横尾尾根の最上部から氷河公園にかけて
そして午後7時、見事な雲海に夕日が沈んでいった。
でもこれは出遅れてしまって、なんとか一枚だけ撮れた写真です。
小屋の一階部分はまだ雪に埋もれて外が全く見えません。
6時半頃に外をチェックしたときはガスがかかっていて、「夕焼けはダメだな」
とゴロゴロしてて、定時無線のためにちょっと外を見たら小屋の周りの雪面が赤く染まっていたのです。
急いで外へ出たものの・・・
もう夕焼けは終盤、これがなんとか撮れた一枚でした。
ずっと外にいれば素晴らしい景色が展開されていたかもしれないのに残念です。