2006年 10月9日
初 冬 の 南 岳

一日以上吹き荒れた風雪は8日の夜になってようやく収まる気配を見せてきた。
依然として激しい地吹雪だが、十七夜の月明かりに照らされた新雪の穂高はあまりにも美しかった
その8時間後、

月が西に傾き

白い笠ヶ岳の上空に

差し掛かったころから

何年間も待ちかねた

新雪の南岳の一日が始まった

小屋を出て、まず目に飛び込んでくる富士山と八ヶ岳・南アルプス
まず最初の感嘆の声を発してしまう瞬間です。

お泊りの方々も続々と獅子鼻へ向かってゆきます
宿泊者のほとんどは連泊して風雪の止むのを待ちわびていた人たち
誰もがこの瞬間を待っていたことでしょう。

雪が、そして穂高が赤紫色に染まってゆきます

説明のいらない感動の時間が過ぎてゆきます。
連休の最終日ということで、みなさんきっと早く下山したいはずなのですが、
朝食の時間になっても誰も小屋へ戻ろうとしません。
まさに去りがたい光景が広がります。

朝食の片付けのあと、南岳山頂へ行ってみた。
槍ヶ岳も真っ白な姿に変わっていた。

山容の大きな笠ヶ岳は中腹から上だけがまるで粉砂糖をかけたように真っ白に雪化粧

そして山頂にはまだ去りがたい人たちが・・・
連泊万歳!のポーズらしいです。
 (南岳万歳ではないそうです)

日中も穏やかな時間が流れ、
次は夕暮れの時間への期待が高まります。
小屋の従業員も夕食の準備をしつつもそわそわしてしまいます。
そして17:00・・・
本日の第2幕が始まりました。

笠ヶ岳の上も下も雲がオレンジ色に染まり始めた。

新雪の穂高も黄昏色に染まります。

雲海をバックに夕日に見入る人たち

獅子鼻の岩壁にへばりつき「瞬間」を狙う人たち

振り返れば槍ヶ岳も朱色に染まり、

最後は空一面に広がったうろこ雲をオレンジ色に染め上げて夕日は沈んでいった。

長々とお付き合いいただきありがとうございました。
今日は本当に何年かに一度しか出会えない素晴らしき日なのです。
今日この日に南岳に居合わせた人、心からおめでとうございます。

なにより一番喜んでいるのはこの自分なんですけどね。