7月11日の本谷の残雪状況


7月11日に本谷を通過した際の残雪状況をお伝えします。
ご多分に漏れず、ここ本谷も例年にない残雪の多さです。
現状では例年の6月中旬並みの状況となっています。
アイゼン・ピッケルを携行し、かつそれを安全・確実に使える技術が
無い方はまだ入山を控えてください。

現状では涸沢出合のやや上(標高2100m)から雪渓が現れ、
稜線直下(右俣なら横尾尾根のコル直下・左俣は大キレット稜線まで)
まで完全に雪に覆われています。

また涸沢出合付近には不安定なスノーブリッジも多く、
崩落に巻き込まれれば、沢に落ちて即死亡です。
ルート取りには細心の注意を払ってください。
二俣付近の様子

この下(標高差で100m)から谷は完全な雪渓となります。
いつもなら増水時には渡渉の苦労を強いられるところなので
その点に関してはいつもより楽と言えます。








二俣から見る右俣
 (クリックすると拡大表示されます)

いつもなら沢の左側の川べりを半ばヘツリながら少し登って、
画面中央の大岩の手前で沢を右側へ渡り、
フィックスされたザイルで大岩横の落差5mの滝をクリアします。
ただ、今は残雪が多いゆえ水量も多くて沢を渡るのはかなり困難。
かといって最初から沢の右側を登るのもおそらく不可能。
右俣クリアのポイントはこの最初の100mにあります。



二俣から見る右俣/やや遠景より
 (クリックすると拡大表示されます)

上の難所をクリアできればその先は再び完全な雪渓。
但し、これから雪解けが進めば雪も割れるでしょうし、
スノーブリッジ・ヒドンクレバスの危険も高まります。

現状では警告しかできません。
自分の目で実際の雪の状況を確認してから判断してください。



1週間前の横尾尾根から見た右俣

上の右俣の谷筋をクリアしてもカール内は一部のモレーン
が出ているだけで依然積雪は推定5m。
花はまったく咲いていません。
またこの雪が稜線直下の激急斜面まで続いています。
左俣・大キレットカールの
  末端から左俣の谷筋を見下ろす

二俣からカール底まで標高差400mの狭い谷筋
こちらのほうが右俣よりも積雪量が多いので
お盆頃までは安定した雪面が残ると思います。
 (それ以降は不安定)
ただし、最後の最後はご覧の通りかなり急傾斜です。
しかし、左俣は落石の巣です。
こちらは北穂池からの滝が流下する地点のやや下部。
狭い谷の中で大小無数の落石が転がっています。

これ以上のコメントは不要でしょう。

左俣のカール底からキレット稜線までは視界が利かなかったために写真はありません。
右俣同様に左俣のカール内も一部のモレーンが露出しているだけで稜線直下まで完全に雪に埋もれています。

そして同様に最後の最後は相当に急な氷化した雪の斜面であるうえ、
稜線ギリギリの雪が解け始めた場所の岩はかなり不安定な状態になっています。
特に下りで利用する場合は氷のような雪面でも確実に滑落停止できる技術がなければ無理です。

以上、最大限の警告の言葉を掲載させていただきます。
もちろん、それなりの技術・経験を持った方なら楽しめるとは思いますけど・・・
安易な入山だけは絶対に控えてください。

今後は本谷に関する情報提供は自分自身がそちらへ向かうこともないのでできません。
ただ、折にふれ右俣・左俣のカールの残雪状況を撮影した写真は掲載していきます。
  (コメントは載せません)
それらから自分の目で状況を判断していただきたいと思います。
電話での問合せについても確かなことはお答えできません。
  (南岳からは谷筋の雪の具合は見えないので)

まあ、今年の場合は8月上旬過ぎまで待つのが賢明だと思います。